日曜コラム 大学入試の英語
日本の大学入試に出た英文を教材に使って、
これから留学を目指している生徒の英語学習を指導しています。
この教材は、上級の大学受験問題だそうで、東大、早稲田、慶応、上智、
センター試験、ほかたくさんの国立、私立に出題された
入試の英文が取り上げられています。
それを私と生徒で読み進んでいくのですが、生徒が地方のため
スカイプを使っています。とても便利です。
日本の難関大学で勉強している学生の英語力のレベルも想像できます。
毎回出てくる英文の内容も社会、自然、科学、心理など
さまざまなトピックから出題されていて、興味深くもあります。
取り上げている題材の内容は大学により長短があり、
複雑な内容もあれば、シンプルなものもあり、偏差値の高い大学だから
難しく、逆は簡単というわけではありません。
私が疑問に思ったのは、設問に関してです。
「下線部分を日本語に訳せ」、「本文の内容に適している文を選べ」、
「カッコ内にあてはまる単語を選べ」、「何について書かれているか」、
「何文字で要約せよ」などなど、設問はすべてが「理解」についてです。
読者の皆さんは、日本の主要大学の英語理解の姿勢をどのように感じますか。
この設問はおそらく日本が文明開化した明治時代から
一貫して変わっていないと思います。
一言でいうと、「受け身」なのです。「まず、しっかり理解せよ」という
ことから出発します。
「君はどう思う」という設問は、ひとつもありませんでした。
「それは、小論文の課題であり、英語力を計るのと、意見を述べるのは別」
という考え方もあります。
あるいは、「意見は正解、不正解ではない」という見解もあると思います。
すなわち、○と×がはっきり判定できて、評価が公平であるということです。
これは日本の特質、特性であると思います。これがうまく機能したから、
勤勉さ、謙虚さなどと結びついて、日本は明治維新で急速に発展し、
戦後の高度成長もなしえたと思います。
問題は、グローバル時代という今までにはない世界が到来したこの時代に
日本の本来の良さをどのように生かすかです。
良い所はそのままに、修正するところはどんどん直していかないと、
日本は今までの経済、文化、社会などの「貯金」を使い果たすだけでなく、
1000兆円もの借金をさらに膨らませざるを得ないのではないかと思います。
その解決のカギを握るのが、若い世代ですが、私は彼らに大いに期待しています。
つづく