★US ボーディングスクール 留学生の割合と構成
アメリカのボーディングスクールでは、多様性(ダイバーシティー)という概念は重んじられます。基本に多様性があるので、make a difference、you are specialといったコンセプトを中心に学校の運営が可能になります。
多様性を具体的にするために、USボーディングスクールにとって、留学生の存在は欠かせません。生徒全体の20%程度を留学生で占めることで、世界のいろいろな文化を自校に持ち込み、多様性の実践を寮生活を通じて、行うことができるでしょうし、インターナショナルな学校を外に向けて発信することも可能になります。
留学の出身国の文化、習慣のみならず、彼らの社会の政治や経済なども知るきっかけを学校が演出することで、双方向のコミュニケーションを率先しているボーディングスクールとしては、社会学習の場をより拡大する機会を増やすこともできます。まんべんなくいろいろな国から留学生の受け入れを考えることは、ボーディングスクーのアドミッションオフィサーにとっては、必須の課題であるのです。
さて、時代と共に各国の留学生の数も変化します。60年代後半は、ベトナムからたくさんの人たちがアメリカにやってきました。70年代の後半になり、中東からの留学生が多くなり、その後、80年代の半ばから後半が日本。90年代の後半になると韓国、そして今は中国です。
今回、訪問しているアメリカ東部のボーディングスクールは、入学難易度ランキングは4に相当する学校です。それぞれの学校での留学生の出身国を尋ねてみると、多い学校で40か国を超え、少ない学校でも20か国くらいから生徒を受け入れているそうです。
驚くのは、いずれの学校も中国からの願書が100をはるかに超えている点です。出願者数対合格者数は数パーセントです。
一か国からの生徒数を増やすと、どうしてもその特定の国の生徒たちは、食事の時や、土日の自由時間の時などにグループで行動しがちになり、公用語であるはずの英語は、彼らの国の言葉にとってかわられてしまいます。
この状況をボーディングスクールはとても嫌います。多様性という概念が上手に維持できないからです。そのために、中国や韓国からの生徒は自国内の生徒同士での競争が激しく、ボーディングスクールへの入学難易度が日本人に比べるとかなり高くなっています。
バブルの時から今に至るまで、ランク4、ランク5のボーディングスクールへの日本人の入学者数はそれほど差がありません。その間に、中国、韓国は日本の数倍あるいは数十倍の勢いで、難関ボーディングスクールへの入学者数を伸ばしています。
日本からの出願者と合格者を増やすために、私はこれからも、ボーディングスクールの教育について、日本の人たちにフェアーに伝えていきたいと思います。