○これからの即戦力人材3
外交官を自ら経験したある高校の校長先生は、日本人は「若くして」海外に出るべきといい、自校の生徒の高校時代での留学を積極的に推し進めています。
その校長先生によると、国連などの国際会議の場で日本の代表者は結論を先に言わないといいます。日本を代表するインテリと呼ばれる人たちが、一体、最高学府で学んだことは何であったのかと私は思います。あまつさえ、彼らは留学の経験もあるはずです。
本題から少し外れますが、まず、自分の意見を述べ、その理由を説明するという英語圏では小学生でも知っているスピーチの原則を、日本のインテリがどうして知らないのでしょう。
おそらく、「現在の経済情勢を考慮して、これからの国際貢献を考えてみると・・・」などと日本の場合、前置きで知識を披露することが一般的です。さらに、その内容が難しい言葉や統計的な数字などで飾られることによって、聴衆はスピーカーのインテリ度に感心し、「この人の言っていることは間違えないだろう」などというのが、日本のスピーカーとリスナーの立場なのではないかと私は思います。そのような国内だけで通用する文化的習慣は、「グローバルスタンダード」では到底あり得ません。
私にとって、この校長先生は衝撃でした。もちろん、ポジティブな意味です。いつも、私は、日本の中等教育の現場の人たちからうとんじられます。それだけならまだいいのですが、グローバルに対応した教育とか、国際人としての素養を身につけると、教育者の人たちは声高らかに言いながら、生徒たちが留学と言い出した途端に、「何をかんがえているのだ」と手のひらを返したような発言をし、推薦状、成績証明書などで、留学生や家族がとても困る場合が多いのです。
「中学生であれば、それも無理はないでしょう。まだ義務教育なのだから」との見解もたくさん聞かされました。しかし、英語を身につけ、世界と接し、大学は世界で選ぶと考えれば、すでに高校からの留学スタートでは、英語のハンディが簡単には克服できないことは、明らかなのです。故に、中学くらいからの留学がベストであることは、「世界の教育界の潮流」です。
この潮流に乗れずに、取り残されてしまう状況、当世風にいえば、「教育のガラパゴス化」ですが、その問題を深刻にとらえているのは私だけでしょうか。
日本の教育のリーダーシップを取る人々に私が申し上げたいのは、教育の視野を広く持ってほしいということです。そして、教育を受ける側の考えや思いを尊重してほしいということです。
日本の英語教育の中身は、とてもよく出来ていると思います。英語文法の解釈や説明はわかりやすく、体系的です。問題は、時代遅れのどうでもいい英語規則などを上級英語として受験に使い、使える英語と受験の英語がリンクしていないところと思います。
つづく