○ 日本の若者の野心2-生徒数100名の大学in USA
経済的に成熟しつつある日本の社会のなかで、どこで、何に、
どのようにして野心を持つなどということが、
はたして現行の教育システムで教えることができるかどうか、
これはとても難しいあるいは挑戦的な課題であると思います。
野心というのは、時に協調性や適応性を飛び越えて生まれるように思います。
調和や均質といった概念がとてもなじむ日本においては、
野心的な人は仲間外れにされたり、疎外されたりしてしまうのかもしれません。しかし、これからの世界においては、既成の枠に収まらないほうが、
上手に生きていけるのかもしれません。
社会的な枠や既成概念にとらわれないというヒントを私に与えてくれたのは、
生徒数わずかに100名で大学として成り立っているアメリカ、
バーモント州にあるSterling Collegeからの訪問者、
Director of AdmissionのTim Pattersonでした。
日本語をかなり流暢に話す彼の学歴、経歴はとても興味深いのですが、
本日のテーマを優先させていただきます。
まず、私にとって最大の疑問は、どうしてアメリカでは生徒が100名で、
私立の学校として成り立っていけるのかということでした。
ボーディングスクールや私立大学の多くが経営難に陥っているなかで、
いよいよ生徒数100名の大学が20年以上にわたり存在するのか、
とっても不思議です。
その答えは、この学校の教育理念と哲学、そしてその実践に賛同する
個人や組織からの寄付にありました。
自然への融和、環境への徹底した関心と配慮、これからの農業のあり方
などに真剣に取り組んでいる人々がいて、それを支援する人や組織が
あり、その考えのもとに集まる若者がいて、
バーモント州の人里離れた地域で小さな小さな社会を創っています。
この大学では、100名あまりの生徒と15名の職員がいて、
彼らは食べ物の20%を自給しているそうです。
さらには、毎年1ミリオンドル(約1億円)の奨学金を
生徒に提供しているというのです。
アメリカという国そのものが、既成の概念に日本よりもとらわれないのは、
New England Association of Schools and Collegesというアメリカ東海岸の
ニューイングランド地方の高校、大学を統括している認可団体が
正式にこの大学を認可していることからもうかがえます。
ちなみに、この認可団体にはハーバード大学、MITなども加盟しています。
この学校で学位取得可能な分野は、環境学、環境人文学、課外活動、
農業ですが、そこから発展派生する自己専攻科目の数は24にも及びます。
つづく