★アメリカボーディングスクール 授業・成績について5
<前日のブログに続きます>
ボーディングスクールにおけるSAT対策は、その専門会社から講師を呼び、定期的に講義をする、あるいは通信教育による指導を行うというような形であり、あくまでもオプションです。それでも、親からクレームが出るわけでもなく、生徒も納得しています。そして必要な生徒のみが、SAT対策をするわけですが、基本的にボーディングスクールの生徒たちは、SATは自分で対策を立てて自主的に準備するという習慣が身についているのではないかと私は思います。
日本の大学受験システムに対応する中等教育のありかたとボーディングスクールの教育では比較の軸がずれてしまうような感覚を私は持ちます。日本の受験生たちは、最後の学年は受験勉強、すなわち知識の徹底した詰め込みで大忙しでしょうが、アメリカのボーディングスクール最終学年生は学校の成績維持とアメリカ式AO入試の出願準備、さらにはSAT受験を9月から12月の間に完成させなければなりません。さらに、通常の授業を先生方が入試準備に追われる生徒に支障がないように展開したり、入試準備を最優先して授業は後回しにしたりするということはありません。
日本でいうスポーツのクラブ活動とボーディングスクールのスポーツも全くコンセプトが違います。ボーディングスクールの場合、最終学年だからということで「引退」はありません。そもそも年に3回、春、秋、冬とシーズンごと行うスポーツ活動が変わり、バーシティー(一軍)、ジュニアバーシティー(2軍)とランク分けされるわけですから、学年に関係なくスポーツをやりたいか、やりたくないかはあくまでも個人の意思ということになります。
特にチームスポーツにおいて優秀な生徒は、3年生だからといって周囲の人たちがほっておきません。そこで、受験準備まっただ中であっても、試合スケジュールをこなしているスポーツマンはたくさんいます。
最終学年の生徒が春を迎えるころ、ほとんどの大学の合否が通知されます。そして、その後も授業は滞りなく進んでいきます。そして、5月を迎えてシニアトリップといって、最終学年生のためだけの旅行が5日間程度行われることがボーディングスクールでは多いようですが、この時期にバーシティーに属している生徒のチームがリーグ対抗戦で勝ち進んだ場合、シニアトリップに参加せず対抗戦に出るというのもボーディングスクールの特徴かもしれません。
結局、アメリカの難関大学に入ろうと思えば、SAT、成績、推薦状、個人の作文力のいずれも超優秀でなければなりません。SATに特化してそれだけの点数をあげても、通常の成績が平均的では、絶対に難関大学には入れないのです。
そのことを承知でボーディングスクール多くは100年以上にわたって独自の教育を展開しています。