日曜コラム 好きなこと、専心すること、続けること
作家の百田尚樹さんがボクシング小説を書くために逸材ボクサーを輩出する
高校のコーチに取材したそうです。どんな生徒が伸びるのか、
という彼の質問にコーチは「ボクシングが好きな生徒」と答えたそうです。
才能、環境、特殊な経験などボクサーとして大成する人たちの
特異性を期待した百田さんは、当たり前すぎるコーチの答えに
拍子抜けしたようですが、20代半ばからスポーツ目覚めた私にとって、
これほど勇気とやる気をもらえる言葉はありません。
残念ながら学生時代にはスポーツに縁のなかった私ですが、
好きなスポーツに、専心し、続けることができるようになったのは、
体育会的組織の理不尽な練習や組織体質と無関係に
テニスを始めた社会人1年目のときでした。
アメリカ留学のために資金稼ぎに始めたアルバイト先でのことです。
今でも月いちテニスを楽しんでいます。
家内のすすめで、長男が小学校2年生、二男が年長さんの時に始めた
剣道にもとてもはまり、あれから18年間、竹刀を振っています。
好きなことに専心し、続けることはとてもいいことだと思います。
そして、ボクシングのようなフルコンタクトのとても激しい
スポーツにおいても、「好き」の精神が発揮されていることは、
希望の持てることだと思います。
剣道も長く続けているといろいろな人と対戦します。
小学生、中学生と稽古、指導もします。
彼らが成長するに従い、強くなり、技が冴え、たくましくなっていくのを
肌身を通して感じるとき、剣道愛好家としては、「負けないぞ」と
自分自身を叱咤し、人としては「大人になったね」と
彼らの成長に感心します。
仕事が忙しくても、家族ができても、住環境が変わっても、
好きなことに、専心できる時間を持ち、それを続けることは、
こころの支えになります。
大変なことがあっても、辛いことがあっても、悲しいことがあっても、
面をつけ、竹刀を構え、イヤーと気を発すれば、
少しずつこころの沈殿物が溶け出していきます。
そして、対戦相手と竹刀を交えるとき、すべてをそこに集中しますから、
こころの圧密度が上がっていきます。
面をとり、終わりの礼をする時は、とてもこころが軽くなっています。
剣道だけでなく、テニスも私にとっては同じことです。
好きなこと、専心、継続の習慣を絶やさないほうが、
とても楽な生き方、すなおな生き方ができると思います。
好きなことは、年と共に増やしていくほうがいいようです。
来週はゴールデンウィークです。
私は、「好きな」仕事でアメリカへ学校訪問に出かけてきます。