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◆スイスという国とインターナショナルスクール

スイスというと永世中立国という言葉がまず浮かんできます。
アルプス山脈に囲まれていて、酪農が盛んで、なにより安全な国という
イメージもあると思います。
スイスの代表的な都市、ジュネーブやチューリッヒを訪れると、
フランス語圏、ドイツ語圏という言語の違いは、明確ですが、
町の雰囲気や建物は似ていることを実感します。
私の友人のコンサルタントはスイスを訪れて、
道を行く戦車、装甲車の隊列に出くわしたそうです。
安全で平和な国スイスも、自国を守るために力の論理が働いていると
感慨深げに語っていました。
自分の国に海がなく、東がオーストリア、西がフランス、
南がイタリア、北がドイツ国境に接しているスイスという国は、
周りがすべて海に囲まれている日本とは全く異なった立地条件を持っています。
特に、国の公用語がフランス語、ドイツ語、イタリア語と複数あるということが、
単一民族、単一言語の日本と比べると、さぞかし不便な国と思ってしまいます。
しかし、現実的には、人々は自分が住んでいるところから他の地域に
それほど頻繁に移動するわけではありません。
幸いなことに、スイスを訪れて、私は言葉で不自由したことはありません。
訪問の目的は学校ですから、そこでは英語が通じるのは当たり前ですが、
ホテル、駅、レストランなどでは、英語が通じなかったことは大変稀です。
一度だけ、ジュネーブのレストランで、日本語のメニューがあるにもかかわらず、
英語が通じないという経験がありますが、
それ以外、どの言語地域でも、英語が通じました。
特に、ドイツ語圏では、一般の人に道などを尋ねても、
おおよそ英語が通じることに驚きました。
スイスにあるインターナショナルスクールはアメリカンスクールと
名乗っているところが2校あります。TASISとLeysin American Schoolですが、
この2校の主だった生徒はアメリカから来ています。
第2次大戦後、アメリカが世界のリーダーシップを取り始めたころ、
多くのアメリカ企業がヨーロッパに進出したのをきっかけに、
企業に勤める家族の子どものアメリカ式の教育を
この2つの学校はスイスで始めたわけです。
もちろん、この二つの学校だけでなく、他のインターナショナルスクールでも
多くのアメリカ人が学んでいます。
しかし、もはやスイスのボーディングスクールにおいては、アメリカ人が
メジャーではなくなっているというのが、現実と思います。
世界を経済という視点から見て、スイスのインターナショナルスクールで学ぶ
人種と照らし合わせてみると、活気のある国が多くの子どもたちを
インターナショナルスクールで学ばせているということに気づきます。
それだけ、これらの学校での教育が魅力的であることがわかります。
もちろん、それはアメリカ本土にあるボーディングスクールにも
言えることと思います。魅力的な教育を提供する学校には、
世界から人が集まってきます。
それは、グローバル化された世界の一つの結果を表していないでしょうか。
さて、問題は世界の経済のなかで立派な実績を誇る日本だけが、
他国と比べて例外的にインターナショナルスクールで学ぶ生徒が
少ないという事実です。

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