中学・高校留学のリスクについて4 治安
<前日のブログに続きます>
費用面でのリスクと共に、英語圏社会での安全性、特に「アメリカは治安が悪い」というのが日本人一般の概念ですから、留学生活におけるリスクを考えてみたいと思います。
人口10万に対する犯罪をアメリカと日本で比較してみると、凶悪犯罪が日本は59件、刑法犯総数1238件(2010年警察庁)、それに対してアメリカは凶悪犯が403件、犯罪総数が3466件(FBI)となるそうです。この数字だけを見せられると誰しもが、アメリカは治安の悪い国となります。そして、ニュースやマスメディアからもたらされる強烈な犯罪情報や映像にアメリカに対する治安伝説はどんどんエスカレートしていきます。
私は仕事柄、アメリカには100回を超えて渡航しています。訪問した都市もかなりの数になります。車で走った距離も10万キロくらいになるかもしれません。ずいぶんと前の話ですが、一度だけサンフランシスコのジャパンセンター近くに鍵をかけるのを忘れてトランクしまっておいたビデオカメラを盗まれました。それ以外は、身の危険を感じたことも、盗難にあったこともありません。
留学時代はサンフランシスコで2年間を過ごしましたが、現地で知り合ったたくさんの人々から、行ってはいけない所と時間は教えられていたので、日常の生活では、危険や不安を感じたことはありませんでした。
アメリカのみならず、英語圏の国々は、日本と比較して人口密度がとても低く、私立の教育機関は小学校から大学まで、生徒の安全を第一優先しますから、立地条件にとてもこだわります。そのような理由でボーディングスクールはみな人里離れた田舎にあるか、あるいは人口数千人の村のような地域にあるのです。ボーディングスクールのある地域社会での凶悪犯罪率を調べれば、日本のそれをはるかに下回るのは明白です。
それでも、アメリカは治安に対する不安は払拭できないのが、私たちの本音でもあるかもしれません。緩い銃規制、貧富の極端な差、人種の問題、与えられた情報や知りえた情報だけで、机上で考えると、治安の問題というのは膨らむ一方なのです。
私はそれ故に、「学校を見てください」と皆さんに言い続けています。「百聞は一見にしかず」を実践することで、多くの家族が納得をするのです。また、それでなければ、10代前半から半ばのわが子を単身で学ばせることはできないと思います。
治安に関してのリスクを解消するためには、アメリカだけでなく、世界から多くの子どもたちが実際に勉強し、生活し、成長していくボーディングスクールという環境を確かめるしかないと思います。
そうすることで、治安に対するリスクは、コントロールできると思います。