★小学・中学・高校留学 留学生の危機感
留学している生徒と親の声をビデオで編集しています。動画という手段を使うと、視覚情報に聴覚情報がプラスされるので、見る側の納得感は増すと思います。このメディアに今まで親しみのなかった私にとっては、編集という作業がとても大変なのですが、生徒や親へのインタビュービデオを繰り返し見ることで、今までにない「情報」の発見もあります。
私が6年にわたってお世話をし、アメリカボーディングスクールを今年卒業する生徒とお母さんとのインタビューでは、本人の口からボーディングスクール生活では常に「危機感」を感じているという発言が聞かれました。留学そのものの動機はあまり明確ではなく、親主導で始まった感のある中学、高校でのボーディングスクール留学ですが、本人には、結果を出さずして帰国はできないという意識が明確なのだそうです。
また、ボーディングスクールでの生活はとても忙しいのだそうです。起床、シャワー、食事、授業、昼食、授業、スポーツ活動、夕食、学習(スタディーホール)、リラックス、就寝というウィークデイのいわば規則正しい生活は10分刻みのスケジュールで動いているといっても過言ではありません。
学習という基本時間帯があり、スポーツあるいは芸術という放課後の活動があり、さらに夕食後に勉強時間が設けられているボーディングスクールでの生活は、中学生、高校生のバランスのいい日常がプログラムされていると思います。
日本では、これほどまでにスケジュール化された生活は難しいと思います。しかし、日本での学校生活が規則正しいものであっても、なくてもボーディングスクールに行けば、そこでの生活に難なく合わせることができるのが、小学校の高学年、中学、高校留学の特質でもあります。留学する子どもたちの感性と体力はとても柔軟に目の前の現実を受け止め、理解し、対応できるようになっているのではないでしょうか。
日本では、自主的学習に慣れていない生徒も登場します。ニュージーランドに留学した彼は、渡航時にモーレツな寂しさに襲われたと言います。この先どうなるのだろうという不安が招いた寂しさであることは間違えありません。
彼と二人で行った学校訪問の旅が思い出されます。その時、英語が全く話せなかった彼ですが、学校訪問最終日には、「笑顔」と「挨拶」はしっかり学習していました。
彼の寂しさは、現地の生徒たちとの交流で解消されていきます。周りの友だちがみな親切でいろいろと教えてくれたことで、彼は「やればできる」という自信を得ていきます。
つづく