日曜コラム 夕食
家を出るとき、家内から「今日は、何食べたい」と聞かれます。
子どもたちが家にいるときは、まず聞かれることはなかったのですが、
彼らがいなくなってから、頻繁に夕食で食べたいものを聞かれるようになりました。
いざ、聞かれると9割くらいの私の答えは、「特にない」なのです。
30代くらいまで、海外出張の帰りは、「寿司屋に直行」などという
時期もありましたが、今はその頻度数がかなり増えたせいもあるのか、
「何でもいい」のです。
家内によると、夕食のメニューを考えることは、結構大変なことだそうです。
そこで、彼女は図書館で献立の本などを借りてきて、
いろいろな料理を試すのですが、なにせ2人しかいませんので、
あまり作っても食べきれません。
メーン料理ひとつあれば、私は十分ですが、
いわゆるイタリア料理でいうところのセコンディが2つくらいでるので、
一日、夕食一回でも十分なのではないかと思います。
せっかくこちらから夕食を指定できるのだから、
少しは考えようと思うのですが、朝、家を出るときには食べ物に関して、
グッドアイディアが全く浮かばないのです。
いつも、同じことを同じ時間に、同じ場所で聞かれるのがわかっているのに、
私は夕食について、あまり学習しない自分を自覚します。
ところが、帰宅する道すがら、電車の中ではなく、駅に着き、
自転車で家に向かうとき、「さて、今日は何を食べられるのだろう」と
淡い期待を持つのです。
「だったら、朝、ちゃんと予約すればいいのに・・・」なのですが、
朝、家を出るときの私と家内との会話には、まだ変化が見られません。
そこで、私は夕食に対する意識を変えようと思います。
食べたいものを2週間分くらいリストアップして、ランダムに選び出して
それを朝、家内に言えばいいわけです。
いつも夕食が提供されるという当たり前を変えて、
自分もそこに参加するというような意識を持とうと思います。
人が作り出した機械は、古くなると燃料を余計に食いますが、
人間は50歳を超えたあたりから、省エネが可能になります。
それが実感できる歳になりました。
量がそれほどまでに問題ではなくなった今、
食意識を受け身なものから、能動に切り替えることで、
食べる楽しみのバリエーションを広げることができると思います。
もちろん、家内から「(食事を)作るのは私です」と言われることは承知です。
食べる楽しみを享受できることに感謝して、
まずは、休日の夕食を何にするかを、考えることからスタートします。