★学校訪問 カリフォルニア州 Ojai Valley School
コネチカット州、The Gunneryへの訪問を終えて、オハイオ州、クリーブランド経由でロスアンジェルスに到着すると、そこはすでに夏が感じられるほどの気候でした。ジャケットなど必要なく、短パンTシャツオーケーの土地柄です。
LAから北にハイウェイ101号線を一時間半ほど上がったところにOjai Valley Schoolはあります。すでに、何度かこの学校は訪問していて、ブログでも複数回ご紹介しました。今回同行した生徒は、寒さが苦手で、暑いところならあの高温多湿の香港でもオーケーだそうですが、気候的にはこちら西海岸のほうが、絶対有利であることは間違えありません。
さて、Ojai Valley Schoolですが、西海岸のボーディングスクールは、ドレスコード(服装規定)も東の学校のようには厳しくなく、オープンです。今回は、ディレクターオブアドミッションのTracy Wilsonさんが直接学校を案内してくれました。Ojai Valley Schoolは小学校と中学校がOjaiの町から少し離れたところにあります。9年生から12年生の高等部はそこから6マイル(9.6キロ)離れた、山の頂上にあります。今回、そこを訪ねてみると、山の斜面を利用して、ソーラーパネルがびっしりと並んでいました。学校の電力はほぼこのパネルで賄えるそうです。
Tracyさんから、英語科の先生、Miss Wilsonを紹介されました。御年72歳だそうです。彼女の教師歴は50年、アメリカには社会習慣として定年制度がありません。ウィルソンさんはまだ、現役教師として教鞭をとるだけでなく、なんとテニスのコーチでもあります。
彼女はUCバークレーで英米文学と歴史を専攻し、卒業と同時に私立女子校の名門、Castilleja Schoolで英語教師として教鞭を取ります。その後に生まれたのがTracyさんだそうです。ウィルソンさんとその娘トレーシーさんは、生まれ故郷でもある南カリフォルニアもどり、彼女はOjai Valley Schoolで得意のequesterian(乗馬)の教師、指導者として十数年間を過ごし、そのプログラムを確立します。もちろん、今でもOjai Valley Schoolは立派な乗馬場と厩舎を備えています。
ウィルソンさんはequesterianプログラムを完成後、クーパー校長に申し出て、再び英語教師に戻ったそうですが、70歳を過ぎても、テニスコーチとして、コートに立つ姿を実際に私は見ました。驚きます。
ウィルソンさんは、その生涯を教育畑で過ごしていますが、娘のトレーシーさんは、Director of Admissionとなる前は、Los Angeles Timesのジャーナリストだったそうです。また、Ojai Valley Schoolにはもと弁護士の人もいるそうです。
教師もスタッフも人生の多様性に満ちている、それが当たり前なのがボーディングスクールの世界なのです。
教える側の人たちは、自分の人生を子どもたちに語りたいのではないか、それを楽しんでいるのではないかと私は思います。それができるだけの裁量が先生にはあり、かつ彼らにクラスの運営は任されている。ひとクラスの人数は15人を超えることがない故にそれがうまく機能するように思えます。
生徒と先生の人間関係が緊密になり、母校へのプライドに結びつく一つのメカニズムがボーディングスクールの先生たちの多様性にあるように思えます。