留学コンシェルジュ

#3 知識を活用する能力

<先日のブログに続きます>
アメリカでは、大学が個別に入学のための試験を実施することがないので、ボーディングスクールの大学への受験対策は、専ら志望校の選定と共通願書(common application)の作成指導になります。
大学個別の入学試験がないだけでなく、高校での成績(GPA)が重視されるアメリカの大学受験においては、将に9年生から12年生の授業での実績がそもそも受験対策の大きな柱となります。
TOEFL、SATなどの大学入試のための「試験」対策にボーディングスクールが熱心でない理由は先日のブログで述べました。繰り返しになりますが、これらの試験への対策は、生徒自身がやりくりするとボーディングスクールでは考えられています。
教える側から見ると、例えばTOEFLの勉強というのは、単語数を増やすこと、読解力を上げること、文書作成力を上げること、的確に話ができることなどの知識を要求されます。
ボーディングスクールの先生方は、おそらく、人生とは何か、人が生きるために必要なことは何か、未来の社会に対して、若者がそれをどのように捉え、何を準備したらよいのか、自分の好きな分野で社会に貢献するために、どのような手順を踏めば良いのか、というような問いには大いに興味と関心を持つと思いますが、TOEFLという試験に出る単語を生徒に覚え込ませることには、全く興味を示さないと思います。
英語という言語の技能向上を目指すのは、ボーディングスクールの教育範疇では、それほど大きな位置を占めていないのです。
しかしながら、TOEFLという英語力を計る試験は、留学生にとっては、合否の鍵を握るともいえます。では、その対策ですが、ボーディングスクールの先生方は、一貫して、日々の授業に取り組むことを生徒に勧めます。その中から、生徒自身が自分を良く知り、自分の人生について考え、どう生きるかを模索し、自分のやりたいことと、社会への貢献するための仕事選びを考えることの大切さを学べというのです。
ゴールが遠くに霞むようなことを熱心に説くことと、英語技能の指導、どちらも教育には違いありません。
それをどのように選択し、日々の学校生活のなかで活用するかを考えるのは、生徒の仕事になります。
歴史、文学、心理、社会、政治、法律などの文科系の学習は、究極のところ、人の社会が健全に発展するためにあると思います。それに対して、英語技能の向上は、あくまでも自分個人が取り組むべき問題であり、明らかに達成目標を設定できます。
ボーディングスクールは、生徒たちに知識を蓄積させるのではなく、それを縦横無尽に活用する能力を身につけるための教育に熱心であると思います。

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