★ボーディングスクール留学 ― Idyllwild Arts Academy進学先について
<前日のブログに続きます>
Idyllwild Arts Academyの進学先をboarding school reviewで調べると、Julliard、Curtis、Oberlin、Peabody、Johns Hopkins、USC、Stanford、Yale、 San Francisco conservatory、Chicago Arts Institute、Rhode Island School of Design、University of Michigan、NYUなどアート関連で有名な大学、そして一般的に入学難易度の高い学校が出てきます。通常のボーディングスクールと変わらず、Idyllwild Arts Academyでも9年生、10年生としっかり自分が専攻するアートと一般教養としての科目を学習し、11年生になって本格的な進学指導が始まります。
アメリカの大学入試については、今まで数回このブログで紹介させていただきましたが、Idyllwild Arts Academyの場合も生徒たちの進学先が学校の人気を大きく左右しますから、その指導とサポートは学校にとって重要です。しかし、社会の文化として、個人の価値観が優先され、その選択についても、生徒自らの判断が重視されるアメリカの場合、日本のような偏差値という指標を学校選定の中心に据えることはないと思います。
その好例として、現在11年生で成績は極めて優良、そして人望も厚く、生徒のみならず先生からも信頼され、Prefect(寮長)も務めるZen君というオーストラリアからの留学生が挙げられます。
彼に進学について尋ねたところ、なんと大学に行かないというのです。俳優になることを目指している彼は、この学校を卒業後に母国オーストラリアに戻り、働きながら俳優としての道を目指して、活動をするそうです。そこで2年くらいしたら、アメリカに戻ってハリウッドを目指すとも語っていました。
成績優秀で人望も厚いとなれば、日本でなくても「ぜひ大学に進学を・・・」となりそうなものです。実際に彼と話していると、はっきりとした物言いは英語圏文化で育った彼は当然ですが、そのなかにとても優しく、人を思いやる気持ちを感じるのです。
いろいろな役柄を演じるためには、人としての器量が求められると同時に、知識や教養といった量的な知性も必要だと思います。さらには、監督やプロデューサに見出されるといった運も欠かせないでしょう。だから、大学に進学して、さらに自分の芸に磨きをかけるとともに、4年間を生かして、役者ネットワークづくりに励むというのが、とても当たり前だと思うのですが、柔らかな物腰ながらも、淡々と自分のプランを語る彼に私は衝撃に近いものを受けました。
彼はこれから、進路を変えて大学進学を目指すかもしれません。しかし、それは彼の決断であり、学校が強制するものでも、先生が決めるものでもありません。私はそこに彼の人生の軸のとり方のさわやかさを感じます。はるばる海を越えて、オーストラリアからやってきたZen君を将来、スクリーンで見たいともちろん思います。
また、世界からつどう10代の芸術家たちが、下界を見渡すような標高1500メートルにある学校で、本当の自分探しに専念している姿を、芸術を目指す日本の生徒たちにも紹介したく思っています。