★小中高留学 教育を変えることへの取り組み2 日本の私立高校
<前日のブログに続きます>
20年間にわたって廃校寸前の学校を、偏差値60を超える人気校にした校長先生は教育の根本に関してとても素晴らしい考えを持っていました。先生は生徒が変化する三つの理由をあげています。
① 自分で目標が決められた時
② 成功体験により「自分の好きなこと」に気づきそれを周囲が応援する時
③ 何かを人のためにやるとき
校長先生は「本当に必要だとその人が思った時が『変わりどき』で、強制的に先生が生徒を変えることができると思わない方がいい」とも述べています。また、先生方のために、目標とある程度のルール、価値観は「必ず」そろえておいて、あとは管理ではなく、一人ひとりがその場で生徒のために一番いいと思うことをやるということを実践されたようです。
生徒は管理できないとする考え方と学習への動機づけに私は大変感動しています。新たな学校運営のコンセプトを実践することで、子どもたちが入学を希望し、それを親も認めるようになった背景には、長らく行われてきた管理教育への挑戦という意識が、校長先生のこころにあったのではないかと思います。
その管理教育というのは、何のために何を管理するかというと、進学実績を増すために生徒たちを管理するということになりはしないでしょうか。そのような環境のもとで、学習への動機づけが喚起されるためには、生徒たちの人生を変えるような大変動が起こらなければならないでしょう。10代の子どもたちの大激変、それを学習技術習得中心の学校生活のなかで起こすことはとても難しいと思います。
管理する側の都合による指示や命令といったことがらや、組織統制のためのルール作りが、もし当たり前とする学習環境であったなら上記にあげた①、②、③の指導方針は機能するものではありません。掛け声をかけたところで、生徒たちが目標作りを率先するはずがありません。成功体験がもし試験の点数、係数などと関連していれば、生徒たちの成功は、彼らにとって考えれば考えるほど魅力的なものとはならないでしょう。さらには、人のために何かをするという高度な倫理規定も結局は、生徒たちの生きる力に根ざしているものでなければ、学校という場で達成できることではないと思います。
おそらく、この改革をすすめた校長先生は、自分の生き方に学校の在り方を反映させたと思うのです。そうでなければ、組織全体を20年以上の長きにわたって変化させることを継続できるものではありません。
私はこのような先生にこそ、ボーディングスクールの教育を見てもらいたいと思います。
(つづく)