日曜コラム 魔法の言葉、タマシュウ
言葉には精神が宿ると言われています。
日本には、「言霊」という表現があります。
願いごとを言葉に託して念じる時、自分の想いを実現化させるような時、
言葉には霊が宿るとした日本古来の風習があります。
言霊ほど重くはないのですが、私は最近言葉の威力を発見しました。
場所は、テニスコートです。
2ヶ月に3度ほど、私はテニスをするのですが、剣道と比べると、
その頻度数と練習量の違いからか、納得のできるゲームはとても稀です。
スマッシュ、バックハンドボレー、浅いボールへのフォアハンドストロークなど、
絶好のチャンスの時によくミスをして、いよいよイライラしてきて、
ファーストサーブの確率が下がり、納得のできないゲームへと
突き進んでいってしまうというのが、私のテニス歴35年で繰り返されています。
一方で、テニスフリークの私は、不思議なことかもしれませんが、
テニスコートのなかでは体力的な衰えはそれほど感じません。
「昔だったら取れたのに」という意識はほとんどありません。
もちろん、長距離走、垂直飛び、走り高跳びなどは昔とは比べられませんが、
テニスや剣道は相手があり、単に力だけではなく、
相手の行動の先を読むことや、思い切りなどが重要なので、
精神的にはまだまだ伸びると思っています。
さて、納得のいかないテニスですが、元世界チャンピオン、
ピートサンプラス曰く、「僕たちプロは、ボールを最後まで見ることが、
習慣になっている」という発言をしています。
彼のようなプレーを、私はまねできるほどの技量を持っていませんが、
その考え方ならば絶対まねできると思いました。
しかし、いつも、いつも実践となると、眼がボールを打つ
コンマゼロ何秒か前に離れてしまいます。
離れた眼はどこを見るかというと、ボールが飛んでいくその先を見ています。
この瞬間に体の軸がほんの少しだけずれて、
ボールを打つ力のロスが生じます。それを手先でラケットをこねまわして
調整するため結果としてミスにつながるというわけです。
それを防ぐのが、タマシュウだったのです。タマすなわちボール、
シュウとは集中の略です。「球に集中」とミスのたびに自分に言い聞かせますが、
打つ瞬間に忘れてしまう。そして、自分の欲に駆られて、
相手のコートを見てしまう。そこで、タマシュウ、タマシュウと
思うだけでなく、ゲームが始まったら、口に出すようにしました。
サーブする前、レシーブをする前、タマシュウ、タマシュウと言いながら、
セットに入るようにしました。
すると、なんと、以前よりもボールに集中できるようになりました。
少なくとも、「納得できない」ストロークはかなり減ったと思います。
タマシュウの威力を発見したのは、つい2週間ほど前です。
次回のテニスは正月5日です。タマシュウでボールがラケットに当たる
瞬間まで見きることができれば、私のテニスワールドは
ドラスティックに変化すると思います。そのように信じて、
次のテニスに期待したいと思います。