★中学高校生留学 日本の危機の本質1
国際経済学者の水野隆徳さんが、経営コンサルタントの船井幸雄さんとの対談で日本が直面する経済、金融危機の本質は心の危機であるといった内容のことを述べています。この対談が行われてからすでに10年あまり経ちました。そして、日本の経済は一向に上向かず危機的状況にあることに変わりはありません。両氏は、日本を再生する途は、すべての分野の人間が私欲を棄てて無私になり、命がけで問題に取り組むことであるという趣旨のことも述べています。
問題は、どうしたら無私になれるか、そしてどうしたら命がけで問題に取り組めるかということではないかと思います。
私の仕事は教育コンサルタントして、世界の中等教育を日本の若者とその家族に選択肢として提供することです。10代の半ばであるからこそ、多くの可能性を実現化でき、すなおに自分が置かれた環境に上手に適応し、異文化のいろいろな事象に興味、関心、好奇心を持って、新たな学習方法を確立するということのお手伝いをしています。
大学留学ではなくて、中学、高校時代の留学と日本が置かれている経済的な状況がなぜ明確に「リンク」するのか、不思議に思われる方もいるかもしれません。経済、金融、財政など、高度な論理や専門的な知識が必要とされる分野になぜ中学生の留学を扱っているコンサルタントが関与するのか。それは、大学生になってから、そのような問題に取り組むよりも、より幼少の時期から問題に取り組む際の考え方の基本を十分に考えておく必要があると私が思っているからです。
水野さんは日本の一年間の財政赤字はGDPの10%くらいと述べています。そして累積債務残高はGDPの150%にもなるそうです。(現在の累積債務残高は200%を超えているものと思われます)もし、「日本」を一般のある家庭と仮定して考えてみれば、毎年、借金が10%ずつ増加していて、一年間で家に入ってくるお金の1.5倍の金額になっていて、それが一向に改善せず、毎年増加しているということになります。
もし、このご家庭が家のローンを組んでいれば、それが返済できずに家を出なければなりません。そして、借家住まいになります。それで、ぎりぎり収入と支出のバランスがゼロにちかくなったとしましょう。さらには、プラスマイナスゼロを維持するため、「必死」で生活を切り詰め、借金をしなくていい状態に家の財政を戻し、贅沢を慎み、命がけで返済に取り組まなければ、子どもの教育すら満足に受けさせてあげられません。
しかし、果たして親の代で借金が片付くのでしょうか。それを受けた子どもたちはいったい、どのようにして自分たちの生活を維持しながら、親の借金を返済するというのでしょう。
これは、ある家庭の経済を中心に考えた場合のことです。
(つづく)