日本人留学生の群がり傾向について
日本の文化特性でもあると思いますが、日本人は群れるのが好きです。もちろん、ダイニングホール(食堂)行くと、中国人(台湾人、香港人、メインランドチャイナ)、韓国人、メキシコ人、スペイン人などからの留学生がグループで談笑したりするのを目撃します。ニュージーランドにおいても人数の大小こそあれ、同様の傾向はあります。
残念ながら、他国の留学生が群れる結果ということを私は知らないのですが、日本人がグループを作った場合、かなり強力なリーダーシップを発揮できる生徒がいない限り、良い結果は生まれません。また、賢い日本人留学生たちは、ある程度、同国人の緊密さは保ちながらも、あえてグループは作りません。作る必要がないからです。
留学先で、昼食時、自由時間の時、さらには週末などに日本人同士で群れるメリットとデメリットを、実際にそれを行った生徒からの意見を参考にして考えてみます。
メリットは、精神的安心感です。特に留学当初、英語がわからず、先が予測できず、時に生徒や先生から突発的に話しかけられるという恐怖や不安からのシェルターの役割を果たすのが、群れるという行動になります。
そのなかでは、束の間の「日本」に安住できます。お互いを気遣い、空気を読み、完璧に理解できる言語で何の不自由もなく過ごせます。異文化のなかにありながら、そこにいる生徒たちは、完璧な日本社会の延長線上にあります。そして、みな明日は自立するとこころのなかでは思っているのです。しかし、シェルターがいつの間にか、安住の空間になり、束の間が長続きする結果になります。
群れるデメリットの最大なものは、その呪縛から逃れられなくなってしまうということです。これも多分に精神的なものといえます。群れていながらも、もう一人の自分と戦うことになります。留学の目的、自分の成長、納得のいかない現実、自分の弱さに目をつぶり、結局、話しかけてくる、あるいはいつも誘いにくる人たちが悪いという、結果に終わる場合が多いのです。すなおに群れから離れる努力を継続すればいいのですが、余計な義理人情に束縛されます。
日本人と群れるのをやめて、現地の生徒、あるいはいろいろな国の留学生たちと交流を始めた生徒によると、それを期にして英語力が格段に伸びたといいます。机上の学習だけではなく、日常の言いまわしや表現、フェイスブックなどでのコミュニケーションを通じて、自分も好むと好まざるとにかかわらず、英語を使わなければなりません。始めは、とても骨のおれる作業かもしれませんが、その抵抗感が徐々に薄れてきます。さらに、いわゆる勉強とは違い、純粋な意思伝達の道具である英語は、使えば使うほど洗練され、その範囲も拡大することができます。
結局、自分次第ということに気づくことが、日本人留学生に求められます。人種に関係なく、誰とでも友だちになることができるまでに、一直線に英語力が上達すればいいのですが、たくさんの障害を乗り越えなければいけません。「英語力」がないからというのは、留学当初には通用しますが、いつまでもぐずぐずしていられないという不安を払しょくするために、日本人同士の群れから離れる勇気が必要です。