ボーディングスクール留学 ★やる気のスイッチ3
先週ご紹介した今年、ボーディングスクールに入学した生徒たちは、今までとまったく違う生活、学習環境でどのようにしたら適応できるかを試行錯誤してつかみつつあります。異文化の衝撃を緩衝させるために、好むと好まざるとにかかわらず学習以外のことにおいても、しっかりと学ばなければ、やる気が起こるわけがありません。
そもそも、やる気の根源とは一体、何でしょうか。やる気という意識は、勉強のみならず、社会に出てから本人の人生を形成するうえで、最も重要と考えられるのではないでしょうか。
ボーディングスクールにおいては、それぞれの生徒のやる気を引き出すために、たくさんの仕掛けや装置を持っていると私は述べました。その基本にあるのは、言うまでもなく先生と生徒の関係です
Make a differenceとYou are specialを実践するために、先生がひとり一人の個性や特性、性格などを理解できるように少人数によるクラスが組まれています。また、生徒一人ひとりにアドバイザーと呼ばれる担当の先生がついています。英語圏全般の学校に言えることですが、同じ学年の生徒を集めたクラスというのは、ありません。すなわち、それぞれの科目ごとに先生のクラスがあり、生徒はそこに移動します。日本とは逆になります。
生徒と先生の関係は、日本が縦型組織であるとすれば、ボーディングスクールの場合は横型の組織であるといえると思います。この構成のユニークさはそれぞれの国の文化に根ざしているように私には思えます。
日本でも寮を中心とした学校はありますが、アメリカのボーディングスクールのようには学校が運営されないようです。ひとクラスの生徒数は30人を下回ることはなく、学校施設もアート、音楽系、体育ともにボーディングスクールのように充実しているとはいえません。仮に充実させたとしても、それを使うのは、そこにいる人々です。先生と生徒の意識が結びついていなければ、施設は単なるハコものとなってしまいます。
ボーディングスクールでは、やる気を起こさせるために、先生と生徒の関係を最も重視します。その関係が単に勉強を教える側を教えられる側というのではなく、本来、楽しいとはいえない学習活動をどのようにしたら、生徒に楽しく学ばせ、さらにそれを追求していくという気持ちにさせるか、学校という組織は恒にそれを考えているように私は思えます。それ故に、先生対生徒の関係がいわば対等な人同士と考えるのがボーディングスクールの大きな特徴です。そうでなければ、なぜあれほどまでに、体育、芸術、音楽といった情操教育に関する設備、施設を充実させるのでしょうか。また、それを発表する機会も学校内外を含め、多様な形で考えるのでしょうか。
ボーディングスクールで行われている教育は、そこで学ぶ生徒たちの人間としての素養を形作るために、教師、職員をはじめ、その組織で活動している人の努力のたまものであると私は考えます。