中学高校時一年間留学について
昨日、ニュージーランドのクライストチャーチから
8名の学校(小学校、中学校、専門学校)代表者が来日して、
彼らのためにセミナーが開かれました。
2011年、2月の地震でクライストチャーチ地区が被災し、
それに伴い多くの留学生がクライストチャーチを去りました。
まだ、市内は完全に復旧したわけではありませんが、
クライストチャーチ周辺の学校は留学生受入れ体制を整えており、
今回は、どのようにしたら日本からの生徒を引き付けることが
できるかというテーマのセミナーでした。
文科省、初等中等教育局、外国語教育推進室長、
田渕エルガさんがはじめにお話しされました。
参加者のために、英語で日本の初等・中等教育のデータが用意されていました。
内容については、完結な英語でまとめられているために、
わかりやすいものでした。ニュージーランドから来た学校関係者諸氏は、
日本の英語教育の実情を理解されたと思います。
彼女に続き私の発表になりました。
私はアメリカへの1年間、交換留学に参加した日本の高校生が
89年には4000人に達する勢いであったのに、2011年には755人にまで
落ち込んだ原因を考察し、これから望まれる留学のかたちを
ニュージーランドからはるばる時間と費用をかけて、
やってきた参加者に提案しました。
また、日々留学希望者と接しているその経験を踏まえて、
留学希望者の本音と受入れ側の対応についての提案もしました。
グローバル社会、ボーダレスな世界になりつつあるなかで、
なぜいままでの高校生の主力留学プログラムであったアメリカ1年間
交換留学が極端に落ち込んでいるのか、その原因はプログラムの内容に
あると私は思っています。
参加者が行く先を特定できず、アラスカとハワイを除く、
アメリカ48州、いずれの学校で学ぶのかが、
渡航の2か月前くらいまで参加者に知らされません。
行く先の学校が特定されても、滞在先ホームステイ情報はさらに
その後の通知となり、場合によっては、渡航後に確定することもある
このプログラムは70年代にアメリカで考案されたものです。
授業料は免除、ホストファミリーはボランティアが主旨のプログラムです。
社会的、経済的日米関係が70年代とは激変している現代であるがゆえに、
アメリカ一年間高校生交換留学プログラムは、
すでに、その役割を終えたプログラムであると私は思っています。
日本の若者が内向き傾向にあると言われ、海外に出る人が
少なくなったと言われていますが、私はそうは思いません。
受入れ先の学習環境が整っていて、英語を学ぶことができ、
異文化体験のための条件が整えば、彼らは必ず日本を出ます。
問題は、彼らが納得できる条件を明確に説明できるかどうかです。
私の世代(60年~70年代)は、留学というのは大きな決断でしたが、
現代は賢明な選択であると私は思っています。
つづく