アメリカボーディングスクール留学 - 寄付金額について
TABSおよびBoarding School Review(BSR)のボーディングスクールリストには、寄付金額を示す項目があります。寄付金額を公にしているところが、アメリカ的ではないかと思います。資金の内部留保を高めて、生徒のための施設拡充、職員に対する待遇の改善を拡大するなど、学校の質を高めて、より魅力的な学校にするために学校運営に携わる人々は努力をするわけです。では、どのような人が寄付をするのでしょうか。
アメリカの学究機関の伝統ともいえる人名による施設名称ですが、当然のことながら、寄付した人、学校に多大な貢献をした人の名前が付けられます。ボーディングスクール訪問で生徒が解説してくれる施設名称の由来には、交通事故や飛行機事故により生徒がなくなり、その親がそれまでの感謝の意とこれからの生徒のためにと多大な寄付をしたというストーリーがあります。
成功した卒業生、またそのグループなどによる寄付も多いようです。テンスクールズなどは、百年以上の伝統のなかで、卒業生が財団を形成して、積極的に寄付をして、芸術、体育、音楽などの分野での活躍を願うということが当たり前になっています。寄付の使途が主要科目の充実よりもアート系、スポーツ系に向けられるところが、寄付をした人の在学時代における活躍の場を象徴しているようで興味深いですね。
寄付金の額ですが、TABSおよび一部BSRによる情報をもとに、ランダムに選択した十二校(カッコ内は寮生徒数)を下記にリストしてみます。わかりやすいように金額は一ドル八十円で換算して日本円で表指示しました。なお、BSRによるとボーティングスクール平均寄付金額は十億円となっています。
Philips Academy, Exeter( 867名)720億円
Groton School(328名)247億円
Choate Rosemary Hall(632名)226億円
Mercersburg Academy(365名)154億円
Middlesex School(257名)136億円
Emma Willard School(203名:女子校)69億円
Wyoming Seminary(172名)40億円
St. Johnsbury Academy(268名)13億円
Tilton School(197名)12億円
New Hampton School(246名)8億円
Winchendon School(186名)1.6億円
Dublin School(99名)1.6億円
寄付金はディベロップメントオフィスという部門が担当します。アドミッションと並んで、通常の会社であれば、営業に相当します。彼らは、毎年の目標金額を設定し、それに向けて世界中の卒業生在校生の家族に学校の現状をアピールしつつ、資金を集めます。
寄付金は、あくまでも任意であり、寮や体育館の新設などの際にも、決して在校生あるいは卒業生の家族にボーディングスクールは寄付を強制はしません。日本的にいえば、一口いくらで、最低三口などと規定されたほうが寄付する側は楽かもしれませんが、アメリカの社会というのは、横のつながりが日本ほど濃くないので、任意が常識になるのではないかと思います。
日本人留学生の場合、現役生徒の親で寄付をされる人はおおよそ全体の三割程度で、その時期は卒業時というのが実際です。