アメリカボーディングスクール留学 - 学校の分布
アメリカでボーディングスクールの最も多い州はマサチューセッツ州で二十九校、続いてコネチカット州の二十三校です。両州とも大都市ニューヨーク、ボストン周辺にあるアイビーリーグ大学が多くあります。また、他にも著名な総合大学、リベラルアーツ系大学があり、それらの機関で学ぶために十分な学力と学術手法を習得するための中等教育機関としてボーディングスクールは発展してきたといっていいと思います。
アメリカでは、国の成り立ちの経緯から大西洋側、いわゆる東海岸地方に文化的、社会的な拠点が多くあるため、ボーディングスクールもその地域にかなり多くあります。TABS(ボーディングスクール協会)、およびBoarding School Review(ボーディングスクール総合案内)のサイトに掲載されているアメリカボーディングスクール三百校あまりの地域分布をみると下記のようになります。
東海岸地区(主要都市:ボストン、ニューヨーク、ワシントンDC)171校
中部地区(シカゴ、セントルイス)25校
山岳地区(デンバー、ソルトレークシティ、)8校
西海岸地区(シアトル、サンフランシスコ、ロサンゼルス)18校
他カナダ、一部ヨーロッパ加盟校
日本人になじみの深いハワイにあるTABSに加盟するボーディングスクールはハワイ島にあるHawaii Preparatory School一校のみです。また、西海岸のロサンゼルスとサンフランシスコ周辺にあるボーディングスクールは十四校ですが、そのうち、四校はESLクラスがない学校ですので、通常の日本の中学、高校生が受け入れられることは極めて難しいと思います。
ボーディングスクールの分布密度という点で考えると、日本よりも広いカリフォルニアに十四校しかありません。それと比較して、面積的には日本の九州ほどのマサチューセッツ州とコネチカット州に五十二校のボーディングスクールがあります。学校選択のバリエーションは学校数の極端に少ないハワイ、西海岸より、東海岸のほうがはるかに有利になります。
日本からのアクセスが容易なハワイのボーディングスクールは一校のみですから、おのずと日本からの生徒が多い傾向があります。日本人のみならず、アジア人が多くいる学校は、どうしても同国人でグループを作る傾向があります。カリフォルニアのESLのあるボーディングスクールも同様に東海岸の学校に比較して日本人の数が多くなります。
中等教育機関への留学のメリットは全く新しい環境でゼロからの出発にあることは間違えありません。そこで、自ら考え、思考錯誤して、行動することで、英語力のみならず、自分に対する自信とプライド、そして人に対する感謝の気持ち、人を尊重すること、協調することなどを、留学生は身につけていきます。
そのプロセスが日本人のグループによってショートカットされてしまうことがあれば、もったいないと言わざるを得ません。また、グループ内の協調性を保つことに、意識と時間を割かれるのであれば、留学本来の意味が薄れてしまいます。
学校選定に重要なボーディングスクールの地域設定ですが、学習条件の良いボーディングスクールを選定する意味でも、アメリカ全土を俯瞰してみることをお勧めします。