ボーディングスクールからの大学進学3 私立総合大学・公立大学
本来であれば、私立総合大学と公立大学は全く別の組織ですが、ボーディングスクールからの進学という視点から考えてみたいと思います。
私立総合大学は規模と入学難易度の幅がかなり広く、立地条件もさまざまです。学生数が数千人規模でも総合大学はアメリカにたくさんあります。また、高等教育機関の頂点に立つといえるアイビーリーグ大学群は都市にあるものもあれば、一つの町を形成する都市郊外、あるいはそれよりも遠いところに位置するものもあります。
ボーディングスクールを卒業して、総合大学を希望する生徒は、成績がよく難関校にチャレンジしたい、都市で生活してみたい、自分の追求したい分野がはっきりしているなどの理由が挙げられると思いますが、日本からの留学生の場合、「田舎から都会へ」という動機で総合大学を選択する生徒も当然のことながらいます。
公立の大学については、州立大学、コミュニティーカレッジが一般的ですが、ボーディングスクール卒業者でコミュニティーカレッジを選択する生徒はゼロです。その主たる理由は、コミュニティーカレッジはその名の通り、地域の人のための公立学習機関ですから、寮のある学校はありますが、寮生活を中心には運営されていません。
教育の流れとして、公立中学・高校と進んできた生徒が、自分の住む町あるいは郡、州レベルで進学するというパターンが一般的であり、私立ボーディングスクールを選択した家族にとっては、高等教育機関で地元の公立に戻るというケースは教育プランにはまったく含まれていないと思います。
しかし、日本からの留学生の場合、必ずしもアメリカ人の教育概念と同じであるわけではありません。特に都市にある総合大学は、州の教育財政縮小により、その運営が以前のようには楽でない状況にあります。公立の総合大学は、私立に比較して、授業料負担が半分以下のところもたくさんあります。
税金による授業料負担を考慮しなくていい留学生の受け入れはこれからより積極的に行われることになると思いますから、その利用価値は高くなるかもしれません。
私立、公立を問わず、都市型、郊外型の総合大学は生徒数も多く、分野別の縦割りの学習専門性も高いので、学生には学習面、生活面での自主性、自立性がリベラルアーツ系大学よりもより求められます。教える側も、自らの研究に取り組んでいるのが当たり前ですから、学生一人ひとりの面倒をみるということは期待できません。個人教授などのシステムは、リベラルアーツ系大学の大学に比べ充実しているとはいえません。
総合大学において、学業面でついていけなければ、おのずと、孤立、孤独感が増大せざるを得ません。自分の追求したいことが決まらないなかで、田舎から都市に出ることは、そのリスクを考慮しなければならないと思います。