中学・高校留学 - 現地世話人について ホームステイの場合2
<前日のブログに続きます>
現地世話人という概念は、留学生本人が不慣れな環境に順応するまでの「保険」のような要素を含んでいると思います。すなわち、何かあれば遠慮なく相談でき、問題解決に寄与してくれるということです。しかし、現実的に留学生の日々の世話をするのは、ホストファミリーであり、学校のESOLクラスの先生など、生活に密着した現地の人々です。また、ホストとのトラブルが発生した場合、ホストを変える権限を持っているのは、現地世話人ではありません。
突発的なけがや病気など緊急時の対応については、ホストファミリーや学校がその任にあたります。手術や輸血などの緊急を要する場合は、基本的には現場の人々が許可をだせるシステムになっています。ですから現地世話人は日本に正確な情報を提供するのがその場合の役割ということになります。
私が言いたいことは、中学・高校生の留学においては、日本語の話せる現地世話人は必須ではなく、補助的な役割を担うものであるということです。
また、「現地で何かあったときに、日本人の世話人がいるから安心」という概念は、「いないから不安」ということに直結しないということです。なぜならば、通常の場合、現地世話人が留学生本人と顔を合わせるのは、月に一度といった頻度であり、ことが起こったときに、世話人がリーダーシップをとって、事態を収拾するわけではないからです。
日々に起こりうる問題点の解決には、留学生本人が、問題の当事者と相対して自分の意思を全力で伝える努力と思考錯誤が絶対に必要で、彼らが悩み、苦労して築きあげるたくましい自己が留学の大きな成果につながります。それを世話人が解決してあげてしまうのであれば、留学の意義が変わってしまいます。
「しかし、現地で気軽に相談して、アドバイスを受けられる現地の事情に精通している日本人は必要ではないか」という意見もあります。私もそのように思います。そして、留学生をそのようなかたちでサポートするのが、コンサルタントやカウンセラーと呼ばれる人たちであるわけです。
今の時代、インターネットを利用すれば、地球のどこにいても「気軽に」スカイプやその他のデバイスで連絡が可能です。ですから、世話人が「現地」にいる必要は必ずしもありません。
オプションとしての現地世話人の選択は十分に考えられます。しかし、現地での生活の安全や安心は必ずしも世話人によってもたらされるものではありません。
(つづく)