中学・高校留学 - 現地世話人について
英語圏への中学・高校留学の目的を考えてみると、学習面では英語力の取得、精神面では自立することが挙げられます。いずれも留学した本人の自主的な行動が基本となって達成されます。その自主的な行動を物理面、精神面でサポートするのがコンサルタントの主たる役割ですが、そのためには親とのこころの繋がりが最も重要と私は考えています。
ボーディングスクールへの留学、あるいは私立、公立の中学・高校にホームステイをしながら通う形の留学にしても、留学する本人も送り出す親も安全、安心な環境で留学を行うということが、基本であることは間違えありません。安全な環境を確認するのに現地に赴き、学校や生活環境を実際に見て納得することが、留学前に考えられる学校選定のベストであると思いますが、すべての留学希望者およびその家族が現地を見ることができるわけではありません。
そこで、留学生の現地での安心で安全な生活を担保するために、現地に留学生をお世話する日本人をおくという方法があります。しかし、「現地で何かあったら世話人が対応します」というフレーズから、私はあまり具体的な効果が見えないのです。
まず、ボーディングスクールの場合、留学生の管理は学校にその責任があります。学校主催のイベント、たとえばスポーツ競技における、アウェイでの試合でのバスなどによる移動、学校近隣への小遠足、学校のある地域社会でのボランティア活動、演劇、音楽鑑賞、週末のショッピングモール等への外出などは、学校のスタッフが同行するのが基本です。スタッフが同行しない場合は、親がそれに同意する意向を示さないと、留学生は学校から出られません。
留学生の生活管理がこのように明確なのは、ボーディングスクールの寮生活の基本です。さらに、コンピュータの進歩により、旧来の紙による親への通知は、すべて電子化されたと考えていい時代になりました。生徒の学業、出納、寮生活の状況は、生徒各自のIDナンバーとパスワードを入力することで、親がいつでもモニターできます。現地で世話人が学校に本人の状況を確認するという物理的な方法はあり得ません。もし、親がどうしても本人の状況を確認したいのであれば、現地世話人がそれを発信する必要はありません。
病気、けがなどの対応のため、フルタイム勤務のナースのいる保健室がボーディングスクールにはあります。入院を要するような事態が発生した場合は、地域のドクターおよび近隣にある総合病院との連携をして即対応できる体制を取っています。
このような状況で、現地に日本人の世話人が必要かどうかは、最終的には留学生の親が判断することになりますが、ボーディングスクールの場合、通常の生活では、現地世話人は必要ないと私は判断しています。
(つづく)