外から見た日本の教育
情報ネットワーク革命で、日本のみに限らず、世界のいろいろな場所から
留学の問い合わせをいただきます。
日本からの問い合わせの場合、「ボーディングスクールとは」という
説明から通常行いますが、海外にいる日本人ファミリーからの質問は
おおよそボーディングスクールに対する説明は必要ありません。
日本国籍の生徒が初等、中等教育を日本国外で受ける場合、その多くが
インターナショナルスクールということになりますが、
後期中等教育(高校)への進学はアメリカのボーディングスクールが
必ず候補にあがります。したがって、そこに通う本人も、
親も基本的なことはおおよそ理解しているからです。
バブル期から比べると、多くの海外に赴任、
派遣されていた日本人は帰国しているのが実情と思います。
英語圏の国であれば、週末の日本人学校プラス現地校での学習が
当たり前でしたが、現在はアジアの国々への赴任が増えたため、
インターナショナルスクールと日本人学校という組み合わせが、
多いと思います。
今、インターナショナルスクールは、そのほとんどが
インターナショナルバカロレア(IB)プログラムを採用しており、
アメリカの高校卒業プログラムと比較して、
学習難易度は高いと言われています。
海外の教育環境で中学校くらいまでの教育を受けた子ども、
すなわち、日本を外から見ている彼らが、日本式の高校教育に
すんなりと適応することはとても難しいことだと思います。
ひとクラスの生徒数は、倍以上という環境で、質問のタイミング、
それに対する先生や生徒の反応は、今までとまったく違います。
もし、アメリカ人、ニュージーランド人、イギリス人などの
英語圏の生徒が、日本の環境で勉強するのであれば、純然たる
異文化という認識のもとで、彼らは新たな環境を受入れるでしょうが、
同じ言語を話し、価値観などを共有する子どもたちにとって、
IBプログラムから純日本式教育への転換は、
いくつかの越えなければいけない障壁があると思います。
その一つに英語の授業における先生との関係があると思います。
コミュニケーションの道具として、英語が日常であった子どもたちが、
受験のための英語クラスに接して、疑問を持たないはずがありません。
インターナショナルスクールでは、徹底的に読まされ、書かされてきたので、
おおよその生徒が、実践的英語力は日本の英語の先生よりも勝ると
言わざるを得ません。
その子どもたちを上手にコントロールして、より質の高い英語のクラスを
作るというかたちが理想でしょうが、現実的には
英語対決が先生と帰国子女の間で起こり、先生も意地になって、
子どもの言うことを聞かないようです。
「外にいた」という事由は、生徒本人の責任ではありません。
彼らから学ぶこと、知ることはじょうずに活用すれば、
貴重な情報を共有できることになります。
彼らの外からの視点を受け入れられる教育の場を日本の学校が
真剣に取り組めば、高いコストをかけてIBプログラムを導入するよりも
合理的と私は思います。