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これからの教育5 - たくましさ2

<先日のブログに続きます>
日本の教育風土のなかに、相対評価ということがあります。英語圏の国々では、私の知る限りでは、すべて絶対評価です。相対評価とは、評価する対象となる人数に対して、最高から最低までのパーセントが決まっている評価です。絶対評価は、すべての人が最高であっても、その反対に最低であってもいいという評価方法です。
日本ではたえず順位、ランクなど全体のなかの自分の位置が見えるように、社会や組織が工夫されていますが、英語圏は個対個の関係がより重要なように私は思います。
「お受験」の世界で鍛えられた子どもたちは、全体のなかでの自分の位置関係を把握する能力は優れているでしょうが、発想、創造、自己表現といった分野の能力はそれほどまでに注目されずに、終わってしまわざるを得ない状況にあるのかもしれません。その理由は、それらの要素が相対評価のなかでは、自分を伸ばす要因とはならないことが多いからです。
それよりも、段階を追うごとに、やるべきことがきちんと整理され、合理的に積み重ねられる計画性や勤勉性が日本では大切なようです。
このやり方は与えられた課題をこなすいわば、均質な人間を作ることには向いていても、豊な発想性や飛びぬけたなんらかの能力を育てる基盤は強くないようです。
留学によって得られるたくましさの根源には、異質なものを認めて、受け入れるという考え方があります。絶えず全体をながめて、そのなかで出過ぎず、必要以上に沈むことなく、節度をもって振舞うことができるという「静」的な文化から、恒に「私はこう考えます」、「このように思っています、だからこうします」という「動」を主体としたところで、どうにか生きていくことを留学生たちは学ばなければならないのです。
十代の留学生たちは、本能的に「相手に認めてもらうには、まず相手を認めること」を学ぶというよりも、体感するのではないでしょうか。だから、認めること、認められることを必死で探します。
まず、彼らは言葉では勝負できないことを知らなくてはなりません。いくら、現地の子どもたちに追いつこうとしても、言葉のハンディはそう簡単にはなくなるわけがない。それゆえに、スポーツ、芸術などの自らの特技が実は、自分を生かせる方法であることを知るわけです。そして、異質なものを受け入れる過程で、彼らは一つひとつ、自分に自信をつけていくのです。「やればできる」とまでははっきりしなくても、今までとは違う、点数以外の手ごたえという感覚を、少しずつ自分のこころのなかで育てていくのでしょう。
日本の学校での既成概念がこのようにして、ひとつずつ壊されていくことが彼らにとっては、新鮮であり、楽しくもあるのです。
人生で初めて経験する、「苦労」とそれを解決するための「自助努力」がぴったりセットになれば、彼らの小さな人生のコアは、将来的には、とても大きく育つ芽をはぐくむことになります。
(月曜日につづく)

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