これからの教育1 - 選択肢の拡大
21世紀の教育にとって、その選択肢の拡大ということが求められることであると思います。将来が不確実な時代だからこそ、これから教育のありかたは大きく二つに分かれていくと思います。ひとつは、確実に安定を手に入れるための準備としての教育、もうひとつは自分自身にフォーカスして、その特性を生かせる教育です。
今の日本の経済的実情と世界における評価を考える時、誰しも将来が定かでなく、何が起こってもおかしくないという状態であることを否定する人は少ないと思います。これからは、世界が相手ということで、そのコミュニケーションの手段である英語の重要性が日々高まっています。それと符合して、企業でも英語力に対するハードルを高くとりつつあります。また、三か月程度の海外での研修で英語力を使えるレベルまでもっていく企業も急増しているように思えます。
それほどに英語力が重要であれば、なぜ初等、中等教育のなかに「使える英語」の導入がより検討されないのでしょうか。もちろん、十分に検討され、すでに小学校からの英語クラスの導入が決定され、教育の分野でも、使える英語に対する取り組みはすでに始まっているといえるのでしょう。問題は、それでどれだけの効果が期待できるかということです。
私は英語力ということに関しては、日本の今の教育現状では大きな変化は期待できないと思っています。小学生、中学生が学ぶ環境での英語優先という考え方が教える側にないからです。では何が中等教育までで優先されるかというと、もちろん大学受験対策です。さらには、難関大学への合格対策です。では、難関大学に入学して、日本の学生たちはどうしたいのかということですが、いい企業に就職したい。では、「いい企業」とはどのような企業かというと、安定している企業、あるいは安定している職場ということになります。では、「安定」ということの概念はというと、生涯の保障ということになると思います。
留学という選択肢は、安定という概念と一致するのか、あるいはしないのか、その答えを出すのは、留学を選択する本人の意識にあります。英語力、異文化理解、コミュニケーション力、プレゼン能力、ディスカッション力など自分にとって生涯使えるであろう力を獲得できるという点においては、就職力をつけるにはとても安定した選択であると思います。しかし、日本での教育実績という今までの就職価値観からするととてつもなく不安定な選択であるとも言えます。
つづく