アメリカボーディングスクール 大学進学について7
<前日のブログに続きます>
ボーディングスクールを卒業した生徒が進学する大学としてリベラルアーツカレッジを今週は特集しました。そのきっかけはペンシルバニア州にあるMercersburg Academyを1989年に卒業した中国人、チェン氏、ご自身が母校に寄稿した自らの大学進学体験にありました。
ボーディングスクール、リベラルアーツカレッジともに、教育の質という面では、特筆に値するものがあり、それゆえにアメリカの私立教育の伝統として十七世紀以降、堅実に有能な人材育成ということで、アメリカ社会のみならず世界に貢献してきたと思います。
チェン氏によれば、リベラルアーツカレッジにおいて重要なのが、四年間の教育をもとにして、後にどこでその成果を発揮して、大学院などで自分の知識、教養に磨きをかけるかということです。
もし、六年という期間が長すぎるのであれば、一般教養を学ぶ最初の二年間で集中して多くを学び、その実績をもとにして、三年時は総合大学に移るということも可能かもしれません。
あるいは、四年間のうち、一年を提携関係にある他国の大学で学ぶことで、より自分の文化的知識を広げることも可能です。
グローバル化とは、縦に繋がっている教育の道筋を横にも同じだけ広げることが基本にあるのではないでしょうか。
現在のところ、アメリカボーディングスクールに入学するための年間費用はおおよそ六万ドル(四百八十万円)ほどです。ボーディングスクール全体では、そこで学ぶ生徒の33%が学資援助をボーディングスクールは提供しています。留学生がボーディングスクールで学資援助を受けることは、簡単ではありませんが、リベラルアーツカレッジへの進学においては、成績優秀な学生、あるいは特技などによって、授業料の減額などは可能です。
私が目指していることは、中等教育の選択肢を広げることによって、日本の若者の世界観を大きくすることにあります。英語というハンディと異文化という日本人にとっては異質な生活・経済活動に慣れていないために、私たちは戦後、どれだけ苦労したでしょう。
世界に誇れる勤勉性、真面目さ、誠実さでもって、日本の経済が右肩上がりの時は良かったのですが、世界の歴史で繁栄し続けている国はないわけですから、当然、日本もアメリカも社会、経済が伸び続けるわけではありません。むしろ、世界をリードしてきた資本主義は、最盛期を過ぎていることは、誰の目にも明らかです。
これからの世界を担う若者には、少なくても日本に固執することなく、地球を中心にいろいろな発想をしてもらいたいと思います。ボーディングスクール→リベラルアーツカレッジという教育システムが、それを実現するための一助になることを願っています。