アメリカボーディングスクール 大学進学について2
アメリカのボーディングスクールで学ぶ日本人留学生は、その八割以上がアメリカの大学に進学します。あとの二割が日本の大学を目指します。同じ英語圏でもニュージーランドに留学した日本人生徒は、八割程度が日本の大学に進学し、のこりの生徒が現地での進学を目指します。
なぜ、アメリカで学ぶ生徒が現地での進学を目指し、ニュージーランドで学ぶ生徒は日本に帰国するかというと、大学の豊富さと周囲の進学意識の違いにあるのではないかと思われます。
ボーディングスクールにいれば、十一年生(日本の高校二年生)になれば徹底的に進学指導が行われます。多くの大学がボーディングスクールを訪問し、生徒に自分の大学で学ぶメリットを説明します。大学にとっては、ボーディングスクールは、恰好の生徒獲得の場ですから、たくさんの大学のアドミッションオフィススタッフがボーディングスクールを訪問をします。また、ボーディングスクールのカレッジカウンセラースタッフも生徒の進学意識を高めるために、大学訪問ツアーなどを企画し、大学で学ぶとはどういうことかを生徒たちに説明します。
アメリカの場合、大学総数は五千ともいわれ、生涯学習の場は人々の生活の場に密着しています。コミュニティーカレッジなどは、そこに住む人々が気軽にギリシャ神話を学び、映画評論のクラスでは、古典的名作がオープンに上映され、文学、経済、法律などの「導入講座」を市民が気軽に学ぶことができます。コミュニティーカレッジの次のステップが州立の総合大学となります。基礎から応用、専門分野への移行は生徒が望めば、できるように仕組まれているのがアメリカの公共の高等教育機関であると思います。
このような学習環境のなかで、留学生たちは自分の好きなことを、より深くより広範に勉強することに違和感を覚えることなく、進んでいけるのかもしれません。少なくとも、いくつかのメジャーな会社の発表する大学ランキング表に基づいて、SATやTOEFLの点数と、GPA(平均成績)で大学出願先を絞り込むという単純作業をボーディングスクールのカレッジカウンセラーはすすめてはいないと思います。
ニュージーランドは総合大学の総数が八校です。その下位に職業訓練的実践学習を取り入れたポリテクニックと呼ばれる二年制の短大のような教育機関が百校以上あります。ニュージーランドにおいては、大学への進学要素のなかに、アメリカのような広域で深い教養学習はないと私は思っています。
では、日本の大学はどうでしょうか。
つづく