アメリカボーディングスクール 合否の発表
秋に学校訪問をして、翌年三月の合否を知り、四月に正式に学校決定をするのが、通常のボーディングスクールの入学までのプロセスですが、多くのボーディングスクールが、通常ローリングアドミッションといって、九月の新学期以外でも留学生の受け入れを行います。また、寮の部屋に空きがあれば、八月でも入学考査をします。
通常、合否の決定は、アドミッションスタッフの合議制です。面接を担当したスタッフが本人の英語力について講評し、成績証明書、推薦状、本人のエッセイを検討して判定が行われます。
サマースクールで英語力を評価して最終的に合否の判定をするというケースもあります。生徒を受け入れる側であるボーディングスクールは、志願者の英語力と学習力を十分に理解したいわけです。本人がアメリカ人生徒と一緒に国語としての英語クラスを受けて、文学作品を鑑賞できるかどうか。その評論をみずからの言葉で表現できるかどうか。歴史(History)のクラスでは、ディスカッションを行い、課題に関してのリサーチや小論文の作成ができるに足る実践英語力があるかどうかを知りたいわけです。
受験している側は、「この学校で学びたい」という熱い気持ちに燃えていますから、その情熱で突き進みます。少人数クラス、生徒に何かと意見を求める先生、また、生徒もただ先生の言うことを板書するのではなく、賛成反対などの意見を表現するというクラスの在り方が既に感動です。今までの受身の勉強に決別し、勇気をふるって発言し、それをほめられた時のホッとする気持ちと、そのあとにじわじわと押し寄せる嬉しさ、認められるということの喜び。日本の学校ではついぞ経験することのなかった「私だって、やればできるじゃない」という自負心と明日が楽しいという意欲。
志願者にしてみれば、お目当てのボーディングスクールへの恋する気持は、昇華こそすれ、止まって、自分自身の英語力を再点検するという冷静さは、持つ必要もないことかもしれません。
ボーディングスクール個別の事由で、ESLクラスが作られたり、廃止されたりしますが、人気上昇中のボーディングスクールは、留学生志願者のレベルが上がるために、人件費と維持費のかかるESLクラスは、できれば廃止して、英語力十分な生徒を受け入れたいと考えるものです。その典型的な例がテンスクールズということになります。
定員がある以上、すべての志願者が自分の望むボーディングスクールで学べるわけではありません。残念ながら、あこがれの学校で学べないことになってしまった場合の志願者本人の落胆は失恋直後と同様に、自分の生活がすべて停止し、このまま止まり続けてしまうような脱力感と無気力感に襲われても仕方ないでしょう。それが、誰でも持っている感性であり、人としての情緒でもあります。
十代にこのような残念さを経験できることが、私はとても素晴らしいと思います。こころが躍動し、体を軽くし、前に前にと押し出しても、それが永遠に続くわけではありません。人生に大ブレーキがかかっても、衝突は避けられたと考えられます。すべての機能は温存されており、その再稼働は本人の意思によります。
私は時として訪れる不合格という結果にも、大きなチャンスが隠れていると理解しています。そして、そこから新たな留学ストーリーを作ることの応援と手伝いができることに、この仕事の意義を感じます。