アメリカボーディングスクール 留学生の科目取りとESLのレベル その3
<土曜日のブログに続きます>
ESLという留学のための英語特別クラスと留学生自身の英語力、学習能力、そして留学意欲は独立して扱われるべき課題かもしれません。今までに私はそれら留学生受入れシステムと、留学生の個としての資質をテーマにあげてこのブログを進めてきました。これからもそうするわけですが、留学生受入れのシステムと、かれら個人の間で、両方を支え、ときには触媒となり、そして恒に全体を維持する主体は先生です。この先生の質こそがボーディングスクールの決め手といっても過言ではないと思います。
ESLというシステムを合理的に稼働させるためにその任にあたる先生は、ESLのレベルごとに一人が一般的ですから、通常一つのボーディングスクールで2~3人となります。留学生にとってESLの先生はボーディングスクール全体の一部ということになります。
ボーディングスクールと公立学校の明確な違いは、先生対生徒の比率にあります。公立の学校では、ひとクラス25名位が標準と思いますが、ボーディングスクールでは12人くらいです。さらに、全職員対生徒の比率となると1:8位になります。クラスでの授業だけでなく、個人指導、アドバイザー制度、そして寮での先生対生徒という関係において、先生が生徒に関心を持ち、教育熱心であったとしたら、理想の教育環境が作られるといっていいと思います。
私の知る限り、国、文化、社会の違いを問わず、教職に従事する人たちは、自分の生徒を生かすことが仕事ですから通常の社会の仕事とは異なります。その学校という特別な社会のなかで、たとえば、日本の場合は、生徒が先生を評価するというシステムはまだ学校に根付いていませんが、アメリカではそれはすでに当たり前とみなされていると考えてよろしいと思います。
そのなかで、ボーディングスクールの先生たちは、切磋琢磨して自分の質を向上させ、生徒の学力および社会性を伸ばして、親子とも納得する結果を出すことにより、彼ら自身も納得の人生を送るわけですが、ボーディングスクールの小さな社会、あるいは大きな家族という考え方はとても優秀な先生を生み出すシステムとして、たいへん合理的です。
学習面、生活面、そして精神面のかかわりを生徒と日々持っているボーディングスクールの先生は、そもそも教えること、教えることで人生を向上させるという考え方を肯定的、積極的に持っていなければとても勤まるものではありません。
ESLの先生のみでなく、おおよそのボーディングスクールの先生は、留学生、通いの生徒、本国の寮生の区別なく、来るものは拒まずに指導に当たると言っていいと思います。
つづく