あるお母さんのカルチャーショック その5 もうムリ
<前日のブログに続きます>
渡航後数日して、お母さんから連絡がありました。
「長女から、電話がありました。様子を聞くと『もうムリ』ということだそうです」
― えっ、帰国したいといっているのですか
「一年が限度みたいですよ。とても卒業まではムリだそうです」
― そうですか。今、帰りたいというのではないのですね。
「違います。今、帰りたいとあの子がいえば、私もキレてしまうかもしれません。『いい加減にしてよ』って、言ってしまうかも。
今、彼女は英語が通じないというよりも、おそらく何も言えないのだと思います。寮生活ももちろん初めてですから、現地の子どもたちの騒がしさに圧倒されていることでしょう。
本人いわく、現地の子どもたちは、食事の時に平気でげっぷするし、部屋割からしてプライベートはないに等しいし、カルチャーショック、ホームシックがないほうがおかしいですよね。だから、今は仕方ないですね。
次女に比べると、長女は繊細というか、生活が受身のところがありますから、初めの一ヶ月くらいは、私も覚悟していましたが、そのとおりの展開です」
― 現地の先生と一度話しましたが、She is extremely shy and doesn’t speak English. But other Japanese students are very helpful for her and she will be OK.といっていました。
「周りの人たちに迷惑をかけるほどではないことがわかって安心しました。これからも、私にはいろいろと発信してくると思いますが、私はこのとおり元気ですから、大丈夫です」
― お母さんが元気であれば大丈夫です。彼女はYear10に入学していますから、NCEA(大学に向けての成績単位制)が始まるのは来年二月ですから、それまでに英語に慣れ、寮生活に慣れてくれればと思います。
「日本では、あまり勉強していませんから、ニュージーランドにいって急に勉強し始めるということはないと思います。勉強することを本人が自覚してくれればいいと思いますが、そんなに私が思ったようには彼女が動かないことも私は解っています」
― お母さん、とにかく本人をほめることです。彼女が留学を決断したことそのものが、ほめられると思います。ご承知のように、「勉強しろ」という掛け声の物理的、精神的効果はゼロです。言われれば、いわれるほど、本人はデスクから遠ざかっていきます。
「うーん、わかっていますが、つい感情的になる」
― もしかすると、子どもたちと一緒に、お母さんもこころのなかで、ご自身の留学をしているのかもしれませんね。そのきっかけは、去年のニュージーランド訪問にあると思います。
つづく