日曜コラム 皇居一周ジョギング
私のオフィス、パレスサイドビルの前は皇居です。
皇居は東京のなかでも有数のジョギングスポットです。
三月よりの禁煙を期に少しばかり増えた体重を、どうにかもとに戻そうと、
朝の運動はしっかりとやっているのですが、思ったように減量できません。
そこで、皇居一周ジョギングを始めることにしました。
オフィスの前、平川門にかかる堀の橋からスタートします。
おおよその皇居ランナーが反時計回りにコースを周回するので、
私もその流れに沿って走ることにしました。
すぐに、国立近代美術館が見えます。
その次に見える明治時代を彷彿させるレンガ造りの建物は何でしょう。
とてもしっかり整備されて、昔のままの姿で立っています。
この辺から上り坂となります。
イギリス大使館が見えてきました。
近代的なビルのアメリカ大使館と対照的に、こちらの建物は、
昔ながらの古い建物です。
まだまだ、上り坂が続きます。
時計を見るとまだ6分くらいしか走っていません。
ここ数年、走ることに集中していなかったので、
体がかなりきつくなってきました。
しかし、禁煙しているせいもあって、「息がぜいぜいしない」と
自分を励まして、眼下に見えるお堀をながめ、
走れることに「感謝」して、前進します。
半蔵門から、国立劇場、最高裁判所を過ぎます。
上り坂が終わり、今度は下り、いい調子で走ります。
もう半分以上は過ぎたろうと思いきや、警視庁の建物がまだ見えない。
「皇居は広い」ことを実感しながら、やっと警視庁を過ぎ、
伊井直弼が水戸浪士に討たれた桜田門外から、この門をくぐり、
島倉千代子が歌った「二重橋だよおっかさん」の二重橋を右手に見ます。
東京のど真ん中、広大な広場をてくてくと走り続けます。
ここまで来てもまだ、ゴールのパレスサイドビルは見えません。
「やっぱり皇居は広い」のです。
ふと、「歩くか」という気持ちが見え隠れするのですが、
「えーい、ここまで来たんだ、あと少し」と自分を叱咤します。
この間に、若いランナーが、私をびゅんびゅんと抜いていきます。
さらには、ゆっくりと走っているように見える年配ランナーが
私に並びかけ、少しずつ、少しずつ前に出ていくのですが、
私は彼らと並走できません。
ほんとうに久々の二十分以上のジョギングなので、
私はかなりゆっくりと走っていることを認識せざるを得ません。
東京駅からほど近い皇居の正門あたりから裏手の平川門までは平坦です。
「のんびりいこう、楽しみながら走ろう」と気を持ち直し、
ジョギングする人や、東京見物をする人たちをのんびり見ながら、
「もう見えるに違いない」パレスサイドビルを目指します。
気象庁前の交差点を過ぎるあたりで、しっかりゴールが見えてきました。
一か月に百キロを走っていたころであれば、
「ラストスパート」の距離ですが、今回はそれができません。
しかし、こころは晴れ晴れとし、皇居ランは人もたくさんいて、
景色の変化も楽しく、これからも皇居一周ジョギングを続ける気になりました。
あとは体重が減れば言うことはありません。
紙上皇居一周ジョギングにお付き合いいただきありがとうございました。