ボーディングスクール - ESLについて7
<前日のブログに続きます>
日本から留学した生徒の初年度、その多くが「文法書を送れ」というメッセージを親に送ってきます。たくさん読まされ、書かされるアメリカ留学生活のなかで、英語理解を早く正しく、そしてまともな英語を書けるように、学習モードスイッチが切り替わることで、このような発信につながるのです。
ESLクラスでは、体系的英語学習の最短距離として、順序立てた「英語文法」を日本のようには学習しない、あるいは学習したとしても先生の説明が英語故に「解らない」ところが多いというのが留学生の本音です。それゆえに、自分自身で正しい英語、まともな英語を確認できる手段として文法書となるわけです。
意欲は学習においてもっとも重要な精神ですから、「文法書を送れ」という留学生からのメッセージに親は当然のことながら、一所懸命に本屋さんの受験コーナーで自分の中学高校時代を思い出しながら、文法書を選びます。この絆が子どもたちの成長を促すばかりでなく、親の成長にも大きく寄与すると思います。親子ともに今までにない体験ですから。
ひとつ、具体的に私がアドバイスをするとすれば、海を超えて、紙情報を時間とお金をかけて送らなくても、目の前のパソコンで、解らない文法事項のキーワードたとえば、makeの使い方、see、hearの使い方などであれば、使役動詞、知覚動詞などと検索すれば、それらに対する懇切丁寧な日本語の説明が、わかりやすくされています。辞書も紙で引かなくても、インターネット英語辞書も用例豊富で大変使いやすくできています。
おおよそ半年くらいで、通常の日本からの留学生は英語学習モードを海外用に切り換えることが可能となります。日本では、平均的な成績、スポーツ、芸術活動では特に目立った実績がなくても、「留学」は彼らの生きる力を目覚めさせます。日本では、考えもしなかった「このままだとヤバい」という学習者の危機感を持つようになります。学習と生活、両面での環境が一夜にして大転回してしまったのですから、人間として「危機感」を持つのは当然ともいえます。
このようにして、自らが自らに課した学習課題に暗中模索しながら、狐疑逡巡を繰り返して、彼らは人として成長します。
今までの不勉強に決別し、自らの力で足りないところは、友達、先生、そしてボーディングスクールという機能を利用して、どうにか補完できるように、考えるのです。
留学生を面倒みるESLの先生ですが、すぐれたESL教師は、長くひとつの学校に定着する傾向があるように思えます。彼らは、生徒に人気があり、支持されています。おそらく、彼らは生徒にとって、親のような存在なのだと思います。異文化生徒を相手にしているわけですから、生活の中での常識が違うということも多々あるでしょう。それを愛情をもって、是正してくれる。困ったとき、悩んだ時なども、身近にいて励ましてくれ、見守ってくれる。それがESLの先生の本質であると思います。
つづく