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ボーディングスクール - ESLについて3

<前日のブログに続きます。>
英語を生活のためのコミュニケーションの道具とするのと、英語をもって知識や技術を習得するいわゆるアカデミックな目的とでは、おのずと学習方法が変わってきます。中等教育におけるESLでは、その両方を一時期に学ばねばならないのが大きな特徴といえます。
大学以上の高等教育機関での学習であれば、その目的は明らかであり、それに向かって最短距離の英語学習をすればよいわけです。生活で英語に困ろうが困るまいが、本人の意思次第でことは解決します。それでも、解決しないのであれば、帰国を命じられるか、あるいは自ら帰国するしかありません。自己決断と自己責任の立場は明確です。
しかし、中等教育においては、本人の行動や意思決定の過程で必ずといっていいほど、親の許可が求められます。未成年ですから当然といえます。生活の場面でも、留学生は不自由な英語をどうしたら使えるか。本人が属している学校という小さな社会はいろいろな機会を利用して留学生たちを助け、励まし、意欲と好奇心を引き出そうとします。それが、ボーディングスクールという社会の重要な特徴です。
本人を中心にして、学校社会と日本の親との連携をうまく図ろうとする意志の調和。そこに中等教育留学の最大のメリットであると私は思っています。
ボーディングスクールのESLは、このような社会のなかで醸成され、留学生に提供されています。英語を母国語としないどんな文化背景、学習背景を持った生徒にもうまく活用されるために、ESLでは日本の英文解析力中心の学習は行われていないのです。とにかく、英語で読まされて、書かされるというのがボーディングスクールにおけるESLなのです。
何を読まされるのかということですが、各学年で課題図書ははっきりと示されます。アメリカ、イギリスの著名な作家の作品、日本と同様に「古典」の精読、詩の構造理解と作成、そして現代作家の作品を読むなど、日本の中学、高校での国語の教科書と同じようなことを英語で行うわけです。しかし、日本とアメリカの国語学習には大きな違いがあります。日本の場合、教科書という学びのお手本が示されて、そのなかで個々の作家の一部分を取り上げて、先生が示すテーマについて生徒は学びますが、アメリカの場合は、近代から現代までの著名作家の作品の一部を網羅したような「教科書」はないのです。ギリシャ・ローマ神話の学習から始まり、シェークピア、チョーサー、キーツ、ホーソン、ホイットマン、フランクリン、スタインベック、サリンジャー、ポー、ヘミングウェイ、シンガーなどの作品を読む量が日本の国語の授業の数十倍になります。
つづく

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