ボーティングスクール-スポーツを教えるコーチと教師
ボーディングスクールの競技スポーツはそれぞれのチームに専属のコーチがつきます。コーチはそのほとんどが現役で授業を教えるその学校の教師です。コーチ役は、ときには校長、学年主任、教頭など管理職にある人も務めることもあります。
ボーディングスクールに採用される人々は三つの役割を課せられることになります。すなわち、授業、スポーツ指導、そして寮生活指導です。一日、4時間のクラス、2時間のスポーツ指導、そして寮での生徒の生活管理です。この三つの役割はトリプル・スレット(三重の脅威)と呼ばれているそうです。アメリカ人の一般の仕事の概念、また公立学校に比べると、負担がかなり大きいという意味だと思います。
公立学校の教師になるためには、教員資格が必要ですが、ボーディングスクールの教師になるための資格試験はありません。そして、その選考課程の基本として、教えることができる科目と、コーチとしてスポーツ面で何が指導できるかが大きなポイントになるようです。なおかつ、先生の雇用契約は基本的には一年ごとの更新です。生徒も一年ごとに進学、留年、あるいは再入学拒否という条件のもとにボーディングスクールでは教育が行われます。先生も生徒も授業、スポーツ、寮生活ともに真剣に取り組まない生徒を、ボーディングスクールはよしとしません。
ボーディングスクールで教えたいと思う人々にとって、教科の専門性はもとより、どのようなスポーツが指導できるかということは、大きなセールスポイントになります。また、教えることに関しては、社会的経験、大学院卒などから、有能であると認められても、スポーツ経験の希薄な教師希望者については、三軍以下の指導および、レクリエーショナルスポーツ(イントラミューラルスポーツ:競技でないスポーツ)の指導にまず当たるなどして、先輩教師が後輩教師を面倒みるそうです。
さらに、新米コーチには、体育コーチとしてのセミナー、自己啓発セミナーなどに参加することへのサポートはかなり進んでおり、意欲と努力は生徒のみならず、教師の側にも徹底して求められるようです。
どこのボーディングスクールを訪問しても、かならず大きな犬やソファにたたずむ猫がいます。先生の家族が飼っている動物たちです。また、ハイスクールでも小さな子どもたちがキャッキャと遊んでいます。先生のお子さんたちです。日本ならば公私混同と言われそうですが、彼らは平気で生活の場と教育の場を共有しています。
ボーディングスクールで教える教師は日本の先生と比べて、かなり恵まれていると思います。自分に子どもがいる場合は、デイケアなどもしっかりしていて、学校そのものが教育社会ですから、子育てには抜群の環境と言えます。