日曜コラム 高度一万メートル
今週はアメリカにいました。
ワシントンDCにあるダレス国際空港から
コネチカット州、ハートフォードのブラッドレー国際空港へ
向かう途中、雲のない晴天に恵まれ、高度一万メートルから眺める地球に
宇宙がほんの少しですが、想像できました。
あと数万メートル地上から地球の上にあがれば、宇宙に浮かぶ
瑠璃色の地球がはっきりと見えるわけです。
一万メートルの上空では、まだ地球に張り付いている感覚です。
しかし、それでも地平線が白くぼやけて、大きな弧を描いています。
ぼやけた白いベルトの上に淡いブルーの空が広がり、
ベルトの下側、眼下を見下ろせば茶色の大地に、
川、道、住宅、ビルが広がっています。
「地球は大きいな」、「人はずいぶんといろいろなものを作るもんだ」
などと、視覚のインパクトが言葉に変化して頭に浮かびます。
「子どもたちにこの光景を見せたいな」と思います。
できれば、一万メートルでなく、十万メートルから見せてやりたいです。
そしたら、私たちの未来が変わるのではないかと思います。
美しい地球号を本気で守るために彼らは動き出すのではないだろうかと
思います。
日常の枠を超えて、美しいものを見たり、聞いたりした時、
若い彼らは真剣に、本気で、何かことをなすのではないかと思います。
彼らがいいと信じ、没頭できるものを探せるのではないかと思います。
留学というのは、海を越えることから始まりますが、
非日常という観点からすると、これほど子どもたちのこころを
よくもあしくも揺さぶることはないでしょう。
子どもたちには、なるべく大きなインパクトを受けてほしいと思います。
そして、いつか彼らが自ら、十万メートル、百万メートルの宇宙から、
地球を見てほしいと切に思います。そうしないと、この地球は
どうなってしまうのかと私は考え始めています。
ある15歳の生徒は、石油の枯渇まであと40年、しかし、産油国が
石油な無くなるまで日本に売ってくれることは考えられず、
結果として、石油の高騰がやってくると言いました。
先進国の相次ぐ経済不況、産業の空洞化、ものづくりが行われず、
ゼロサムゲームに知恵を絞ることしか考えられないのが、
これからのインテリジェンスの一つのかたちであるとすれば、
世界はこれからどうなるのでしょうか。
だから私は子どもたちに広い世界に飛び出してほしいと思います。
できる範囲でいいから、彼らがもう一度、原点を再確認し、
そこに向かって進んで行ってもらいたい。
機上にいると、空気が若干薄いせいか、感傷的にもなり、
また、精神は高揚されるようです。
高いところから失礼しました。