アメリカボーディングスクール-奨学金と学資援助
ボーディングスクールに関して、「奨学金を受けることは可能ですか」という質問をよく受けます。中学・高校生を対象とした公の奨学金制度については、一年間留学が対象なので、卒業を目的とするボーディングスクール留学には当てはまらないといっていいと思います。その他、ロータリー財団やフルブライト奨学金の対象は大学に留学する生徒が対象です。では、ボーディングスクールそのものが支給する奨学金に関してですが、そのほとんどが、学資援助というかたちで自国の生徒への支給が優先されているようです。
奨学金と学資援助というのは、似て非なるものです。英語で奨学金はscholarship、学資援助は financial aidといいます。また、merit scholarshipという、特定の能力に対して、それを認めて伸ばすための奨学金があるのですが、boarding school reviewでmerit scholarshipを調べてみると、ほとんどのボーディングスクールがNOとなっています。表向きには、スポーツ特待生、成績優秀のための特待生はいないということになります。
学資援助というのは、成績が優秀であればだれでも無条件で支給されるわけではありません。それを受けている志願者の家族は授業料支払が困難な理由を明示しなければなりません。家族の年間収入の証明、財産に関する証明(動産、不動産のすべて)を提出します。
アメリカボーディングスクールのマネジメントのバランス感覚として、学校運営は国や州の補助金をあてにせず、自力で考えることが徹底していると私は思います。授業料本体は、人件費と学校運営経費で使われてしまうというのが、ボーディングスクールの見解です。すなわち、施設改修、拡充費用、学資援助などはそのほとんどが寄付金で賄われていると思います。
教育の機会をなるべく多くの人にという観点から、学資援助を三人に一人の割合で、100万円以上の費用を学校が負担するという考え方がアメリカのボーディングスクールの平均値としてあります。
テンスクールズなど寄付金額が多いボーディングスクールは、寄付金の一部を資金運用しているとあるボーディングスクール関係者が言っていました。この考え方もマネジメントと教育を分離して考えるアメリカ方式のボーディングスクール経営であると思います。
すべては生徒の向上と社会貢献とするのは、理想に過ぎるかもしれません。しかし、子どもの将来に対する投資として、その価値を見出し実行するのは親の専権事項です。