ニュージーランド留学の特徴-受入れ担当者
ニュージーランドの中学、高校はそれぞれが独立して留学生の受け入れにあたります。その点においては、北米のボーディングスクールと同様です。一見、当り前のように思える各学校が独立して留学生を受入れるやり方は、北米の公立学校の留学生受入れにおいては、全く異なっています。
学区ごとに留学生受入れシステムを発展させてきたアメリカ、カナダの公立の学校においては、個々の学校に留学生担当者およびホームステイコーディネータを配置することは、人件費的にみて大変非効率になります。したがって、数校、時には数十校を統括する留学生受入れのためのオフィスを設置するわけです。そのオフィスでセクション別にホームステイを担当する部署あるいは人、留学生募集のための営業部署あるいは人、留学生の学校を選定する事務方などに役割分担が行われます。
受入れ側からすると、このシステムが効率よく、ひとつのオフィスで多くの留学生を受入れることができます。しかし、留学生からすると、勉強面、生活面の統括責任者が彼らの学ぶ学校にいませんから、身近な相談や疑問点についての情報が自分の思うようには入手できない場合が多いわけです。問題は、留学がスタートしてからの半年余りです。この期間、留学生は実用的な英語力がほとんどないため、コミュニケーションにたいへん不自由します。さらに、文化、習慣の違いから、生活面でも多くの疑問が生じます。
それらを自ら克服するところに留学の意義があるわけですが、問題は留学生が誰によって支えられるかということです。ホームステイの人たちの善意、学校の先生方の善意により、留学生がサポートされる場合は、問題ないのですが、ホストマザーは通常、仕事をしていて、留学生の悩みを十分に聞いてあげられる時間はないと考えたほうがよいでしょう。また、学校の先生も留学生の担当者ではありませんから、先生たちに留学生の問題を解決する責任もなければ、権限もありません。
英語力とは関係なく、留学生は自分の悩みを誰にどのようにしてぶつけたらよいのか、迷うがゆえに日本の親に「相談」せざるを得ないということにつながってゆく可能性が高いのです。
学校一つひとつが留学生受入れの総合的機能を持つことで、留学生は安心するのです。何かあれば、どこに行き、誰に話したらよいかが、自分の生活圏のなかに彼らのための「オフィス」があることで、留学生は落ち着いて、日々の生活を送ることができるのです。
ニュージーランドという小さな国が、学生を受入れに関して、人件費的には非効率なシステムを作ったのは偶然かもしれません。しかし、北米のボーディングスクールのように留学生にとって優しく、親しみ深く、心地よいやり方であると私は思っています。