USボーディングスクールの特徴-TABSの統計
アメリカのボーディングスクール協会、TABS(The Association of Boarding Schools)が実施した後期中等教育(ハイスクール)に関する統計があります。この統計の目的はボーディングスクールの実際を広く母国および世界に知ってもらうということですが、16か月をかけて、2700人以上の成人及び高校生に対してTABSは聞き取り調査を行っています。うち、おおよそ1000人がボーディングスクール在学生と卒業者、1100人が公立高校、600人が通学私立校です。
聞き取りの対象となったのは、ボーディングスクール、通学私立高校、公立高校の3年生、それらの学校を卒業した25歳から26歳の大学卒業者、38歳から39歳、58歳から59歳の中堅、後期職業人です。比較を公平にするために、男女の比率、大学進学率、聞き取り調査を行った対象者およびその家族の社会的、経済的状況が考慮されています。
まず、学習内容がチャレンジングすなわち、意欲的に取り組むが難しいかどうかの質問に対して、下記の結果となっています。
公立高:50%
通学私立校:70%
ボーディングスクール:91%
95%のボーディングスクール生徒が学校での学習内容に満足しているかあるいは大変満足していると答えたのに対して、公立と通学私立学校生は86%になっています。
90%のボーディングスクール生徒が先生の質が高いと評価しているのに対して、通学私立校生徒は62%、公立高校生徒は51 %がそのように先生を評価しています。
ボーディングスクールの生徒は週に17時間、宿題をするために使っていますが、通学私立校生徒は9時間、公立高校生徒は8時間となっています。
75%のボーディングスクール生徒が自分の周りの生徒たちは意欲的に勉強していると評価しているのに対して、通学私立校生徒のそれは、71%、公立高校生徒は49%となっています。
ボーディングスクールを卒業した中堅職業人の90%、後期職業人の80%がボーディングスクールライフを繰り返したいと思っているそうです。
TABSというアメリカ版ボーディングスクール協会の統計結果を、そのまま鵜呑みにしてボーディングスクールを礼賛することはできませんが、私はTABSの行っていることに大変興味があります。
ボーディングスクールでの教育を考えるときに最も重要なのは「選ぶ」ということです。家族ぐるみで学校を選び出し、見るだけでなく、個別に面談もし、担当者に質問し、生徒たちにも質問し、家族が検討した結果として、選びだした学校に通うからこそ、ボーディングスクールの教育に満足しているというこれだけの統計がとれるのだと思います。
当り前のことですが、ボーディングスクールには入学難易度ランキングがあります。日本のように、それを上から下まで偏差値で並べるようなことは、アメリカでは絶対にないでしょうが、テンスクールズと呼ばれる超入学難関学校群、意欲があれば、ほとんどの生徒を受け入れるスモールボーディングスクール群、積極的にLD、ADHD、などの教育に取り組んでいるセラピューティックスクール群、そしてテンスクールズからスモールボーディングスクールの間の沢山のボーディングスクール群、それぞれの個性を有効に生かすためにどうしたらよいかを、TABSの統計を踏まえながら考えたいと思います。