学校を訪問する理由 その1-「胆を決める」
私は留学先を決定するにあたって、学校訪問を皆さんにお勧めしています。
その第一の理由は、留学する本人の「胆」を決めさせることにあります。「10代の子どもの『胆』を決めさせるとは、大げさな」と思われるかもしれませんが、本人と家族が納得して留学をおこなうために、留学する人の年齢、性別にかかわらず、私はこの理由を最も大切にしています。
10代の子どもたちは精神的、物理的に成熟していません。その発展段階において、さまざまな障害物を乗り越えなければなりません。いくら周囲が本人を手助け、応援をしても、最終的に「決断」と「実行」をするのは本人にほかなりません。そのために必要なのは、知識や経験の集積を行動に変えられる知恵と実行力です。その源に「胆力」があると私は信じています。胆力とは、意志の力であり、それを曲げずにやりとおす精神です。「胆」が決まれば、誰でも物事をやり遂げることができると私は確信しています。
留学する学校を決めるために志望校を訪問することと、胆を決めることの関連は、本人の意思を最大限に尊重することにあります。英語ができる生徒もそうでない生徒も、実際の学校を見ることで、そこで教え、学ぶ人々を知り、学校ごとの特徴を感じ、自分の欠点や長所を再認識します。その機会を本人に与えることで、彼らのほぼ無意識のなかにある「プライド」を満たすことになると思います。
留学先校を決めることにおいて、この胆が重要であることは、学校訪問が「必須のものではない」ことも示唆しています。実際に、学校訪問をせずに中高留学をする生徒のほうが、訪問をする生徒よりもはるかに多いわけですが、訪問をしてもしなくても、留学する生徒の胆力が練れているか、いないかで直後の不安定な時期の過ごし方も決まります。
日常のことで、あれこれと不満を言ってくる生徒は、すなわち胆が決まっていなかったことを、それによって証明するわけですが、それを受け止めるお母さん、お父さんにとっては、海外で単独生活をしているわが子からとの対峙ははじめての経験ですから、冷静に対応することが難しいのが現実です。
そんな時に、親子で共有できる場面や人物が多ければ多いほど、留学初期のトラブルシュートは楽になってゆきます。また、留学を決断するにあたり、「行って、見て、話して、決めた」という親子の行動により、現地の本人の状況を親も、よりよく理解することができます。その情報共有が留学初期の問題解決にとても役立ちます。
つづく