お母さんのわが子観1
留学先校に生徒を推薦するにあたり、
お母さんから「わが子観」をまとめてもらいました。
本人とは1週間、学校訪問の旅を通じて、私なりのイメージは
あったのですが、改めてお母さんから本人の在学校内外の
ストーリーを知らせてもらい、私は家族の絆の大切さを
再認識しています。
「人のためには、何も怖がらずに立ち向かって行ける、芯のしっかりした子」
お母さんからのメッセージの結びです。私はこのメッセージに感動しています。
私も2人の息子がいるので、子どもたちの成長の過程で、
学校における「いろいろな出来事」は、家内から聞いていますし、
一筋縄で行かないことは、十分に解っています。
学校に行く前に何度か迷子になったこと、砂場遊び、
40度を超える高熱で何度か夜に病院に連れて行ったこと、
お絵描き教室、スイミングスクール、魚釣り、勉強への無関心、塾通い、
家庭教師の検討、友達付き合い、先生との関係、いじめ、学力テスト、
そして、中学3年生の2月からの留学。
日中は仕事をしている父としての私でさえ、子どもたちの幼少時から
高校を終了するまで、思い出はすらすらと出てくるのですから、
家内はその数百倍の想い出を持っていることでしょう。
お母さんからのメッセージはいろいろなことがあったなかで、
わが子を考え抜き、知ったうえでのことであるわけです。
どんな子になってほしいか ― このテーマが私はそれぞれの家族の
子育ての核心と思っています。
親が子に対して、望むこと、大きいことも、小さいことも、その思念の
コアの部分は明らかに子どもの精神のアンテナがキャッチして、
伝わってゆくものと思います。
お母さんからメッセージをいただいた生徒と1週間の学校訪問で
印象に残っているのは、彼女の笑顔です。
笑うことの好きな私は、口数の少ない、寡黙な人を目の前にすると、
どうにか笑わせようと無意識に思うところがあります。
お母さん曰く、「とても人見知りだけれども・・・」、彼女が見せる
素直な笑顔を私はどうにか引き出したいと、旅の最中にあれやこれや、
彼女が面白がりそうな話題を振ってみるのですが、勝率は2割くらいでした。
寡黙でありながらも、自らの意思で親に留学を進言したその意思、
「好き」と「嫌い」ははっきりしていて、自分の意思を曲げないところなど、
英語圏の文化になじむと思います。
少なくても、群れのなかで、ふわふわと流れることに慣らされていない、
彼女の性格は、海外で意見を求められた時に、はっきりと「自分は」という
主語(動作主)を使えると思います。
お母さんからのメッセージに私は「世界共通の求められる人間性」と
返信しました。そして、日本では、それを男において義侠心と言い、
女性においては「侠(きゃん)」と表現されると伝えました。
いずれも、人間関係の基本だと思います。その基礎があるからこそ、
海外の新たな生活の場が生かされる。
その基礎を作ったのは、ほかでもないお母さん、お父さんであることが
私のこのお母さんへの結びのメッセージでした。