留学生の柔軟思考 → 独創力の展開のために
独創力は経済的に成熟した社会で生きてゆくために求められる
重要な力ではないかと思います。
英語圏の国々ではそもそも独創的考え方が当たり前であるのに対して、
日本ではつい最近まで、独創力よりも、協調性や調和に
重点が置かれてきました。ようするに、英語圏の基本である
Make a difference
You are special
といった考え方の反対です。「人と違う必要はなく、あなたは特別でも
何でもない。組織やグループの一部として、その役割を確実に
果たすことが最も重要なのだ」という高度成長期の了解事項です。
時代は移りました。
日本が経済的に成熟し、大量生産、大量消費
という「もの」の生産は日本が拠点にはならなくなっています。
ハードと比較して、以前よりもよりソフト面が重視されようになり、
旧価値観から脱皮して、独創力はこれからより重視されると思います。
この力はそもそも誰にでも備わっていると私は思いますが、
ダイヤモンドの原石と同じで、発見し、丹念に磨かなければ、
全く用をなさないと思います。
独創力の展開に必要なのは、好奇心、素直さ、そして努力など
であると思いますが、否定的な経験則は独創力の最大の敵だと
思います。前例がないから、あるいは自分の経験上できないといった
サイクルに入ると、独創力の発見や鍛錬から遠ざかるばかりです。
留学と独創力という視点で、海外での学習という作業を
見てみると、知識(暗記)、思考力(理解)、アイディア(独創)という
要素のうち、知識、思考力を自らの力で活用しなければならない環境が、
最終的に高度なアイディアの連鎖を生むのではないかと思います。
留学生たちは日々のルーティーンを自ら再設計するための
努力を現地で求められます。それは、先生や学校の指示ではなく、
自らの必然性に基づいています。先生やアドバイザーの人たちは、
大きな方針や学校が提供できる機会は示しますが、DO ITについては、
あまり細かくは指導しません。
このような環境が留学生に独創力というアドバンテージを
もたらすかどうか、その鍵を握っているのは、留学する本人と
それを日本からバックアップする家族です。
小・中・高校留学は彼らの経験則からの引き出しが極端に少ないため、
それが両刃の剣として作用します。また、現場の先生方は日本の文化特性に
精通しているわけではありませんから、日本からの留学生の心理についての
掌握は難しいことです。否定のサイクルは避けたいものです。
そこで力を発揮するのが、やはりお父さん、お母さんからのバックアップです。
独創性とは、小さな成功の積み重ねによる精神的成果の集大成だと思います。
誉めることは大変上手な英語圏の人々です。
彼らと一緒に、子どもたちに親のポジティブな経験則からの独創性を
アドバイスしてあげてください。