震災後の日本のイノベーション その3
医療と経済という立場から日本と世界を鑑み、
それぞれの組織に属し、なおかつ現在日本で活動する、
黒川さんと野中さんの社会観を3回にわたりお伝えしましたが、
私は彼らのいう社会善、実践知といったキーワードに
頼らず自らの知識と経験をもって現実に当たるということを
痛感しました。
黒川さんが言うように、20年前と比べて、世界人口が倍にも増えてしまった。
地球上に生命が誕生して以来、これほど激しい変化をどんな生物が、
体験したでしょうか。
世界人口が倍になっても、個別の国という視点で見ると、
ほとんどの先進国での人口増加が倍などということは考えられません。
極端な格差で激変する世界のなかで、私たちは政治的リーダーを
批判的な目で見ますが、過去の経験からは予測できないような事態が
世界中でこれからも、当然のことながらあり得るというのが、
現段階での私たちのあらたな経験であると思います。
第二次大戦後、世界は変わりました。
冷戦状態が終わり、ソビエトが崩壊し、東欧の国々が自立しました。
また、王族や軍の独裁者に支配されていた国々も
その体制が崩壊しました。
力やイデオロギーで無理やり作られた社会が限界に達し、
そのような国では人々が自力で生きる道を模索しています。
日本の今回の震災は、その原点は天災です。
そして、誰も想定していなかった自然による原発の破壊に
組織とシステムが対応しきれない状況です。
その様子が逐次世界に流れるシステムができているのが、
現代のグローバル社会です。
国際化ということの本質は、世界が情報の共有をするということに
あると私は思います。
「震災後のイノベーションについて」と題するセミナーに
出席して、黒川さん、野中さんの講演を聞き、
彼らの言いたかったイノベーション(革新)とは、
一人ひとりの精神的、物理的な独立支援のための
意識的な環境づくりではなかったかと思います。
東日本大震災であらわになった東電という日本を
代表する企業の体質、「こうする」という明確な対応のない
政治、日本を含む世界が寄付をたくさんしましたが、
公平性をもとめてさまよっている寄付金。
その現場にいる人達は、政府や東電に頼っていられない
というのが、現実であると思います。
私が今できること、それはこれからの教育
に社会がもとめているリーダーシップを反映させることであると、
思っています。
美しい国日本が、これからも世界と一緒に伸びてゆけるように、
私は自分にできることをこれからも教育という世界で実践してゆきます。