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震災後の日本のイノベーション その2

黒川さんに続き野中郁次郎さんのお話しの焦点は
現場の重要性ということでした。
彼はそれを「実践知」と表現されていました。
実践のただ中で考え抜き、さまざまな失敗もし、それでもめげずに
やり抜くなかで社会善(common good)が生まれる。
経験と苦労により生まれたこの目的のために、最善を尽くすところに
日本がDNAとして持っている文化の素晴らしさがあると、
野中さんは述べておられました。
黒川さんと共通した野中さんの概念に「現場」をしることと、
自らの努力と行動で得た知識の重要性を私は感じます。
野中さんは「日本の智の作法が破たんした」と述べられました。
本来、リーダーシップをとる人に求められる要素が、
私たちが見ている報道メディアに現れるリーダーの人たちから
残念ですが感じられない。
大局を語り、求められる行動をこなしてゆくためには、
それを決断する人の器量が何よりも大切です。
「器量」の中身が吹っ飛ばされて、組織や個人の保全が
発表される情報から読み取れるがゆえに、とても悲しい気持ちになります。
正直さ、誠実さ、素直さなどの目的が人ではなくて組織というところに、
脱力感を覚えるのは私だけでしょうか。
先日の震災復興大臣の失言からの交代劇などは、
その中身が社会善のかけらもなく、書く気すら起こりません。
野中さんは講演の冒頭で日本の経営にたいして今、
「世界が興味を持たなくなっている」と述べられましたが、
日本の前の世代の人々が背負ってきた艱難辛苦の結果を
私たちは感謝せず、その「実」だけを当たり前のように
消費しているような気がします。
また、組織も「維持すること」に価値観が置かれ、
100年に一度といった自然災害確率に対する対策は、
誰も真剣に考えず、組織の利益を追求した結果、
組織そのものを根底から覆すような危機に陥ってしまいました。
野中さんは多様な価値観、多様な人間関係の構築には
若い時の苦労がとても大切と言います。
国のリーダーシップを取ろうとする人が持つ、国家の価値
(nation value)は、その人の実体験の血と汗と涙の総和とも
述べておられました。
今の若い人たちは草食系とよく言われますが、野中さんは
草食系人を肉食の中に突っ込んでやれば、その違いがわかると
実践知を重視する行動を示唆しました。
若い人たちだけでなく、社会善に責任のあるリーダーの人でさえ、
草食だか肉食だか知らずに、与えられてしまった牙や角を
どんなふうに役立てるかも知らずに右往左往しているとしか思えません。
本当に私たちの人間力が世界で試されようとしています。
野中さんは明るい兆しとして、震災後に地域のリーダーが
自然発生的に表れており、こうした人々と連携する必要があると
述べられました。
やはり、若い人たちには世界に出て行ってほしい。
私はそれを痛感します。この信念だけは、生涯持ち続けたいと
自分を叱咤します。

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