塾とボーディングスクール その4
生徒のニーズに合わせて、たくさんの塾バリエーションが生まれ、
またこれからも日本の塾は変化し続けると思います。
メーンとなる学校が個別に対応できない以上、
それが自然のながれであると私は思います。
あるお母さんによると、ある塾の「理科実験教室」という
実験を中心に行う講座が大変な人気だそうです。
学校では時間をとっていられない理科の実験ですが、
子どもたちには理論の勉強よりも、実地体験のほうが
楽しいわけです。
楽しいから好奇心を刺激する、そうすると
人に強制されなくても、知りたがるのが子どもの本質です。
しかし、この本質はうまく引き出さないと、
自然に伸びるわけではありません。
私はそこに教育の面白みと意義、そして感動が
教える側にもあると思います。
絵画教室、音楽教室、習字、英語スクール、
スイミングスクール、さまざまなジュニアスポーツチーム、
そして、さまざまな学習補習塾などなど、
生徒の興味と個性を学校という単一の組織ですべてまかない、
かつその質を維持することは不可能に近いと思います。
多様性という視点でアメリカ、イギリスのボーディングスクールを
考えてみると、そのシステムは日本と違ったかたちで成長、
発展していると思います。
その基本は、生徒本位の学校経営にあります。
一クラス10人以下、アート、スポーツなどの副教科科目の充実、
土曜日曜のイベント、社会活動、通常の学校生活における
躾や社会的な教育など、日本の学校に比較して、その余裕のある
教育はとても魅力的です。
さらに、イギリスの教育システムでは、
高校最後の2年間の学習科目は4科目→3科目となります。
「学校が塾そのものではないか」というのが私の感想です。
高校2年間で自分の目指す科目を特化して勉強し、
大学に入学して、さらに専門分野にすぐ入るというのが、
イギリス方式で、大学の修業年限は3年間です。
イギリスの高校3年生にしてみれば、寮生活をしながら、
3科目に集中して勉強を行うわけですから、午後の放課後や、
週末などは、ある程度自分の好きなことがやれる時間の余裕も
持てるでしょう。
アメリカにおいては、イギリスのような専門特化学習制度はありません。
その単位制やディプロマ(卒業証書)方式は日本と相似しています。
しかし、アメリカの教育界においては、塾文化は開花しませんでした。
アメリカには日本の文科省のような中央省庁はありません。
教科書の検定も、学校の認定も基本は州です。
アメリカでは大雑把ですが、塾という役割の一端をボーディングスクールが
担っていると私は考えています。