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日曜コラム-計画された偶然について

私の先輩にあたる留学カウンセラーから「計画された偶然」
というスタンフォード大学のクルンボルツ博士の理論を聞きました。
彼によると、成功は「偶然の結果」だというのだそうです。
今までの自己啓発論は、その多くが目標(アンカー)を設定して
それに向かってキャリアを積むというものでしたが、
彼の理論にはアンカーがありません。
偶然の出来事が積み重なって今となる、それが計画された偶然
(Planned happenstance)というわけです。
そのために必要なことは、
・好奇心
・持続性
・楽観性
・(思考の)柔軟性
・リスクを恐れないこと
これを恒に心がけて、とにかく行動することで、
計画された偶然が起こるとなるわけです。
博士の理論の詳細はウィキペデアに任せるとして、
私はこの理論をとてもアメリカ的だと思いました。
これからの人生を生きるなかで、大切なことは、自分の好きなことを
思い切り楽しむことですよと彼はいうわけです。
私は日本で、はたして何人の人が、
自分の好きなことを大学で学び、はたして何人の人が、
自分の好きな仕事についているだろうかと思います。
私の専門は中等教育機関への留学ですが、
この博士のいわばキャリア理論は、日本においては、
持続性は忍耐に、好奇心は学習という限定的分野で、
楽観性は、慎重論に、柔軟性は協調という枠の中で、
リスクを最小限に抑えるように変形されそうな気がします。
私は仮説ですが、グローバル世界に対応するためには、
一つの文化のフィルターを通して、他の文化の理論を解釈するのでなく、
複数の文化の性格を体験的に知ることが求められると思っています。
そうでないと、「理屈はわかるけれども、現実的には難しい」という、
自分の思考、行動範囲をなかなか乗り越えられないからです。
卑近な例で恐縮ですが、
剣道で小学校の低学年の子どもたちと接していると、
彼らの好奇心、持続性、楽観性、柔軟性、リスクテイキングが
日本の伝統にどんどんつぶされてゆくような感があります。
一言でいうと、既成概念の枠の中でしか、剣道という武道精神を
よしとしない大人の指導が当たり前なのです。
剣道が生まれた背景として、「剣を通じて命のやり取り」がありますから、
勝手な好奇心等は許されないのかもしれません。
しかし、それが許された子どもと許されずに指導された子どもが、
たとえば試合で対戦してどちらが勝つでしょうか。
「勝ち負けではない」というのであれば、どちらが
剣道を好きになれるでしょうか。
文化のもつ多様性を尊重して、「生かす」ことを追求することで、
クルンボルツ博士の理論を有効活用してゆきたいと思います。
今日の剣道の稽古で、子どもたちの好奇心を
引き出せるような指導をしたいと思います。

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