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日曜コラム - 不思議な出来事

私の自宅の東側に100m*20mくらいの畑があり、ジャガイモ、トマト、
トウモロコシ、里芋、ほうれん草、ネギなどの野菜が作られています。
朝の運動を習慣としている私ですが、その畑を目の前にして、
竹刀の素振りをします。トウモロコシの列のとなり、トマトの列は、
鳥よけの目の粗いネットが張られていました。
―あのネット、鳥が引っ掛かりはしないだろうか
毎日、目にしている光景なのですが、その日だけなぜか
そのネットに自分の意識がフォーカスされ、そんなことを想像しました。
―あれ、ぜったい引っ掛かるぞ。そしたら鳥は動けなくなるぞ。
そうおもいながらも、手足は自動的に動き規則正しく前進二歩、
後退二歩の素振りを繰り返しています。
その時です、一羽のムクドリが勢いよくそのネットの下にある
小さなトマトの苗木めざして鋭角に突っ込んできました。
「あっ」、「(ほんとうに)来た」と思った次の瞬間に、
ムクドリは足をネットに取られてバランスを崩し、あわてて
ばたつかせた羽もネットに絡まり、カスミ網にかかった鳥状態になりました。
一瞬の出来事でした。ムクドリはもがけばもがくほど、ネットに絡め取られました。
羽も思うように開かなくなるのを見て、
「猫に食われる」と思った私は畑と自宅の間にある
1.2メートルほどの柵をヨイショと乗り越えて、ムクドリと対面しました。
ギィー、ジィー、ギョーとムクドリは黄色いくちばしを大きく開けて、
静かな畑に響き渡るような大きな声で私を威嚇しました。
ムクドリの体にまとわりついたネットをほぐすのに以外と時間がかかり、
その間に、ムクドリから何度も手をつつかれました。
絡まるネットをほぐそうとすると、羽のバタつきでまた絡まる・・・
ふと上を見上げると、電線にムクドリたちが目白押しにずらっと並び、
地上の様子を眺めています。
静かだった畑が、電線に群がるムクドリたちのざわつきで騒々しくなりました。
私はいったんその場を離れ、鋏を持ってとって返し、
ムクドリをネットから解放しました。
20メートルほど、低空で地面を這うようにして飛んだムクドリは
急上昇して民家の屋根を超えて飛び去りました。
The show is over
かどうかは、ムクドリに聞かないとわかりませんが、
あれだけ電線に群がっていたムクドリたちも、私が柵を乗り越えて、
畑を振り返った時には、2-3羽を残すのみとなりました。
一生に一度くらいは、思っていたことが、目の前に現れるという
ことがあるのかもしれません。

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