ニュージーランド留学 - ホームステイでのトラブル2
ホームステイでのトラブルシュートで最も大切なことは、留学生とホストファミリーとのコミュニケーションを良くすることです。ほとんどのケースでホスト側は思っていることを明確に生徒に伝えますが、それを生徒が理解しない、また理解しても自分の意見を言わないところに問題があります。「日本の生徒が意見を言ったらおしまい」というのは、冗談ではなく、私がいままでに聞いた英語圏の留学生担当者の本音です。日本人留学生が言うことは、「ホストを替えてほしい」ということです。前後の理由説明がなく、いきなり結論で、そのあとのフォローもない。
英語が話せないから仕方がないと考えることは、とても残念です。「ホームステイのトラブル1」で述べたように、英語がはなせるかどうかではなく、相手に自分の思うところを伝えるかどうかなのです。うまく言えなければ、伝えることを工夫しなければなりません。紙に自分の意見を書いてホストマザーに渡すこともできます。言いたいことをメモして、読み上げてもいいのです。ホストは完全ではありません。お互いのコミュニケーションを拒否するということはあり得ないことです。
食べ物の問題は近年あまり聞かなくなりましたが、食べられないものや、好き嫌いははっきりと言うべきです。子どもがうるさければ、静かに勉強できる環境を考えてほしいとホストマザーに相談すれば、なんらか考えてくれます。ホストの側がルーズで時間を守らない状況が長引けば、当然のことながらホストを替えなければなりません。ホストマザーがあれやこれやと口うるさければ、なぜ口うるさいのかという話し合いがなければ、事態は絶対に改善には向かいません。他の留学生がいて、うまくやれなければ、留学生とも話し合うことは必要不可欠です。倹約についても、今の日本の現状を考えれば、理解できると思います。
ホームステイが社会(Social Studies)科目として、単位取得にふさわしい体験をじつは留学生は行っていると私は考えています。
ホストとの生活は留学生にとって、一生涯におそらく一度だけの保護された限定的社会学習であると思います。人の家庭で長期間暮らすことで、自分の家庭とその環境がいかに恵まれたものかが理解できると思います。また、ひいては日本という国がいかに便利で豊かかということも計り知ることができると思います。そして、生徒たちは便利さや豊かさ、恵まれた環境について再考すると思います。
たとえ多少不便でも、豊かさに制限があっても、ここの人たちはとても幸せそうだと多くの留学生が言っています。だから1年もたつと日本の親にありがとうと素直に言えるようになることが多いのです。
ほしいものが手に入らず、自由にどこにでも行けない留学生は、時として憤懣を爆発させることもあります。異文化で暮らすのですから、それも当然と言えます。しかし、自暴自棄になる生徒はいないのです。彼らには、生きることの原点といえば大げさかもしれませんが、すくなくもと精神の豊かさをホームステイから学べるものと私は考えます。