日曜コラム - 挨拶の達人
原宿というところは、世間では若者の街として有名ですが、
ここ千代田区竹橋と違って、ひとつ路地に入ると住宅もまだ残っていて、
いわゆる親子3代にわたって東京に住んでいる「江戸っ子」に時々、
会うことがあります。
原宿は竹下通り、そこと平行に走るブラームス通りと
名付けられた路地があります。
以前にその通りを通って通勤をしていたころ、割烹着姿に箒と塵とりを持って、
せっせと掃除をするおばあちゃんと良く会いました。
いつしか、朝の挨拶をするようになり、
それから短い会話を交わすようになりました。
―おはようございます
「おはようございます、今日は暑くなりそうですね・・・」
四季を通じて、その時々の30秒足らずのやり取りで、
私はいつも先手を取られてしまいます。
こんどは、「先(剣道用語でセンといいます)の先」を取り
一本決めてやろうと望んでも、絶妙の会話の間合いとタイミングで
先が取れません。
人から話しかけられることの多いことをもって自負している私にとって、
30秒ほどの会話はとても楽しいとともに大切な生活の場面です。
朝の散歩兼運動の時も、通りすがる人に「おはようございます」と
声をかけるのですが、こちらは余裕で先が取れます。
「はよーございまーす」
「あっ、はようございます」
「はよっす」
「おはよー」
「はぁ、はい」
毎日のことなので、レギュラーメンバーとはにこやかにご挨拶
するのですが、初めて挨拶する人たちは驚いた様子の人もいます。
100人に一人くらいは、「無言」の人もいまが、
「挨拶」は大切と思い、それを習慣にしています。
雀の森神社に朝のお参りのときに、氏子さんの一人と思しきおじいさんに
―おはようございます
「ご苦労さんです」
こんな挨拶もあるのだなあと人間模様を楽しんでいます。
結局、江戸っ子のおばあちゃんに先を取れたのは、
指折り数えるくらいしかありませんでした。
いつもしゃきっとしていて、言葉の歯切れがよく、
暑すぎる夏には苦言を呈し、秋は落ち葉に文句を言い、冬の寒さにもめげず、
春の桜に「きれいねぇー、まあ今日はお花見日和だわね、どちらかに行かれるの」
―はぁ、ちょっと仕事が・・・。
自分の無粋さに、「江戸っ子にはかなわねーや」などと、何度も思いました。
江戸っ子はみな挨拶名人だと思います。
私の思う江戸っ子というのは、東京に住むローカルな人のことで、
おおよそローカルな人というのは、地域とのつながりのある人たちと、
私は思っています。
ここ竹橋界隈は、オフィスがほとんどですが、江戸っ子に会ったら、
是非ブログに書きたいと思います。